抄録
症例は15歳, 男児。平成12年の学校検尿で尿蛋白が陽性のため訪医し, 片腎, 軽度腎機能低下を指摘され, 山形大学医学部附属病院小児科に紹介された。徐々に腎機能が低下してきたため, 十分な説明と同意の下にエコー下経皮的腎生検を施行した。生検後は小血腫を生じたのみであった。病理組織所見では, 尿細管の萎縮, 間質の線維化が散在しており, 間質性腎炎と考えられたが, その原因は不明であった。
片腎例に対する経皮的腎生検は一般に禁忌とされている。しかし, 腎炎が疑われる場合や腎機能低下を認めた時など, 腎生検が必要な症例も存在する。機能的単腎である移植腎生検においては, エコー下経皮的腎生検が広く施行されていおり, 経皮的腎生検は, 開放腎生検と比べてリスクが高くはないと考えられる。習熟した施設において, 血圧, 凝固能が正常な症例に対しては, 十分な説明と同意のうえで, 片腎であっても経皮的腎生検は絶対的禁忌にはならないと考えられた。