日本小児腎臓病学会雑誌
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最新号
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追悼文
総説
  • 三浦 健一郎, 服部 元史
    2019 年 32 巻 2 号 p. 77-85
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
    [早期公開] 公開日: 2019/06/28
    ジャーナル フリー

    体液量と水電解質異常の評価およびそれに基づいた輸液の選択は小児診療における日常的な課題である.低張液輸液による hospital-acquired hyponatremia (医原性低ナトリウム (Na) 血症) の危険性が指摘され,維持輸液として等張液を用いることが推奨されるようになった.しかし,その根拠となった文献において低張液輸液で症候性低 Na 血症や死亡などの重篤な有害事象の発生頻度が有意に増加することは示されておらず,現時点において維持輸液として画一的に等張液を選択するということについては疑問が残る.むしろ,実際の患者の状態を観察し,抗利尿ホルモンの分泌刺激となりうる病態の評価を行いつつ,維持輸液開始後に適切なモニタリングを行うことが重要である.このためにも,基本的な脱水,血清Na異常の病態理解と評価が重要であり,体液量と総陽イオン量で血清Na 値をとらえる概念が非常に有用である.

  • 清水 正樹
    2019 年 32 巻 2 号 p. 86-94
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
    [早期公開] 公開日: 2019/10/21
    ジャーナル フリー

    生体内においてサイトカインは,細胞の増殖,分化,遊走,代謝など多彩な機能的役割を有し,生体の恒常性が保たれるように炎症を制御する役割を果たしている.小児の炎症性疾患では,過剰な免疫応答によりサイトカインネットワークによる生体の恒常性維持機構が破綻し,様々な炎症性サイトカインの産生が異常に亢進することにより,重症化病態が引き起こされると考えられている.したがって複数のサイトカインを同時に測定するサイトカインプロファイル解析は,患者の免疫応答,炎症病態を反映する,様々な小児の炎症性疾患の病態理解,病勢および重症度評価,そして臨床症状の類似した疾患の鑑別に非常に有用な検査法である.今後さらに幅広く臨床へ応用されることが期待される.

  • 林 祐太郎, 水野 健太郎, 西尾 英紀
    2019 年 32 巻 2 号 p. 95-104
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
    ジャーナル フリー

    小児泌尿器科領域の腎尿路疾患の代表的な疾患は腎盂尿管移行部通過障害による先天性水腎症と膀胱尿管逆流である.本邦では長い間,診療指針がなかったため,欧米のガイドラインに従って診療が行われてきたが,医療システムが異なるため,とくに手術治療については実際の医療にはそぐわない面が多かった.2016 年に日本小児泌尿器科学会で両疾患に関する診療手引きが作成され,それに則って手術適応などが判断されるようになった.手術方法についても,かつての開腹術から低侵襲の腹腔鏡手術へ移行している.さらに近い将来には欧米のようにロボット支援手術が中心になると思われる.

原著
  • 北城 恵史郎, 大園 秀一, 大石 早織, 満尾 美穂, 中川 慎一郎, 田中 征治, 山下 裕史朗
    2019 年 32 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
    [早期公開] 公開日: 2019/07/10
    ジャーナル フリー

    小児血液・腫瘍疾患経験者における腎機能の経時的変化とリスク要因を明らかにするため,後方視的研究を行った.対象は38 名[造血幹細胞移植(移植)群14 名,非移植群24 名].治療前(T1),治療後(T2),終了後1 年(T3),3 年(T4),5 年(T5)の年齢別sCr 基準値(50% ile)*100/実測sCr(CrM1)を算出.①各時点のCr M1 両群平均値比較,②疾患別の経時的な両群の比較,③全症例の抗がん剤累積投与量,④腹部照射群と非照射群の各時点の平均値を比較.結果,両群の平均CrM1 値は経時的に低下(移植群T1112⇒T5 98,非移植群T1 133⇒T5 111).疾患別では神経芽腫の移植群でT2~T5 にかけ有意に低下.急性骨髄性白血病では両群低下せず.全症例の抗がん剤累積投与量では,特にT3 でシクロホスファミド(γ=−0.47,p<0.01),シスプラチン(γ=−0.56,p<0.01)と有意に負の相関あり.腹部照射群はT2~T5 で有意に低値.移植群では腎障害性の薬剤を含めた集学的治療がリスク要因で,治療直後に最も障害されることが示唆された.

症例報告
  • 松隈 英治, 上田 優果, 原 晃啓, 西脇 綾子, 湯澤 壮太郎, 松久 雄紀, 平田 和裕, 松波 邦洋, 桑原 秀次, 所 訓子, 今 ...
    2019 年 32 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
    [早期公開] 公開日: 2019/08/07
    ジャーナル フリー

    ミトコンドリア遺伝子変異A3243G はMELAS(Mitochondrial myopathy, Encephalopathy, Lactic acidosis, Stroke-like episodes)で認められる代表的な変異である.MELAS には心筋症,難聴,糖尿病,腎障害などが合併するが,臓器ごとのヘテロプラスミーによって症状発現には個体差が生じる.一方異常ミトコンドリアによる腎臓でのエネルギー供給不足はFanconi 症候群や巣状糸球体硬化症(FSGS)などの病態を起こすことが報告されている.今回尿蛋白が持続し,FSGS と診断されたことを機にA3243G 変異が判明した症例を経験した.症例は15 歳の女児.9 歳時学校検尿で尿蛋白を指摘され,腎生検(1 回目)ではMinor glomerular abnormality が示された.その後も尿蛋白,Cre 値は悪化し,14 歳時に腎生検(2 回目)からFSGS と診断した.またミトコンドリア遺伝子検査ではA3243G 変異を認めミトコンドリア病と診断した.今後の経過観察においては糖尿病などの合併症に注意を要する.

  • 宮崎 紘平, 塩谷 拓嗣, 宮沢 朋生, 岡田 満, 竹村 司, 杉本 圭相
    2019 年 32 巻 2 号 p. 118-123
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
    [早期公開] 公開日: 2019/08/20
    ジャーナル フリー

    扁桃腺炎を契機に尿所見の増悪を認めた膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis: MPGN)に対し扁桃摘出術を施行し,臨床的,および免疫組織学的に有効であった1 例を経験した.症例は21 歳の女性.11 歳時に溶連菌感染後糸球体腎炎を発病し,経過観察されていたが,5 か月を経過しても尿所見と低補体血症の改善がなく,腎生検によりMPGN Type I と診断した.その後,メチルプレドニゾロン・パルス療法を3 クール施行後,多剤併用療法(PSL+MZR+ACEI+ARB)にて軽快した.12 歳頃より再び尿所見の増悪と低補体血症を呈した.扁桃腺炎の反復のたびに,尿所見の増悪と低補体血症を認めていた.17 歳時に慢性扁桃腺炎に対する扁桃摘出術を施行後,検査所見は改善し,病態が安定した.18 歳時の腎生検で,免疫組織学的にも改善を認めた.反復する扁桃腺炎により臨床所見の増悪を認める難治性MPGN に対して,扁桃摘出術は有効な追加治療となる可能性がある.

  • 金子 昌弘, 山田 剛史, 長谷川 博也, 金子 詩子, 齋藤 昭彦
    2019 年 32 巻 2 号 p. 124-129
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
    [早期公開] 公開日: 2019/08/23
    ジャーナル フリー

    15 歳,女子.2 週間続く発熱を認めた際に骨盤内の胚細胞性腫瘍を指摘され,1 か月後に摘出術を受けた.手術4 週間後に発熱と腎機能障害,血尿・蛋白尿を認め当科に入院した.眼所見に異常はなく,腎病理所見で尿細管間質にびまん性の単核球浸潤を認め,尿細管間質性腎炎(tubulointerstitial nephritis: TIN)と診断した.ステロイドパルス療法で速やかに解熱し,腎機能や尿所見は改善した.後療法のプレドニゾロンを23 か月かけて1 mg/日まで減量したところ,羞明感と眼球結膜充血を認めた.眼科でぶどう膜炎を指摘され,TINU (TIN and uveitis)症候群と診断した.腎炎の後,非典型的に長期間経過して眼症状を発症した可能性や,ステロイドの減量に伴い眼症状が顕在化した可能性が考えられた.TIN では診断時だけでなく,継続的に,もしくは眼症状を認めた際に速やかな眼科的評価が必要である.

  • 山田 祐子, 河場 康郎, 横山 浩己, 北本 晃一, 岡田 晋一, 神﨑 晋
    2019 年 32 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/22
    [早期公開] 公開日: 2019/10/21
    ジャーナル フリー

    Obstructed hemivagina and ipsilateral renal anomaly (OHVIRA)症候群は重複子宮,片側膣閉鎖および膣閉鎖と同側の腎欠損を合併する症候群である.一方,重複腎動脈は片側の腎に複数の腎動脈が存在し,本態性高血圧で合併頻度が高いとされている.症例は11 歳6 か月の女児.8 歳時に検尿異常の精査で左腎欠損と子宮低形成を指摘された.9 歳8 か月時に頭痛が出現し,血圧 154/82 mmHg で入院精査加療された.4 か月間で降圧治療終了されたが,1 年後に再び血圧上昇を来した.腹部MRI では左腎欠損に加え,重複子宮と左膣閉鎖が認められ,OHVIRA 症候群と診断した.また,右腎動脈を 2 本認め,右重複腎動脈と考えられた.女性の片側腎欠損では高率に子宮膣の形態異常を合併するため,精査が必要である.また,本症例では単腎症と重複腎動脈を合併したため高血圧を生じた可能性が示唆された.

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