抄録
小児の上部尿路感染症は局所症状に乏しく,診断に苦慮することがある。今回,小児の急性腎盂腎炎診断におけるDMSA腎シンチグラフィー (以下,本法と略す) の有用性を検討した。本法を施行した急性腎盂腎炎患児10例中8例で異常所見を認めたが,その他の発熱性疾患患児9例においては異常所見を呈した例はなかった (鋭敏度; 80%,特異度; 100%)。また経過を追って施行した例では発症から3カ月目には異常所見は消失していた。
以上より,本法は急性腎盂腎炎の診断に有用であり,発熱の原因の確定しない乳幼児において積極的に施行する意義があると思われた。しかし1回のみの本法で炎症性変化と腎瘢痕による恒久的変化を区別することは困難であると考えられた。