抄録
膀胱内尿貯留時利尿腎シンチレノグラム (DR) が,先天性腎尿路異常の診断に有用となるか検討した。対象は新生児,乳幼児で,延べ184腎 (延べ130腎に排尿時膀胱造影 (VCG) 施行) である。膀胱カテーテルを留置せず尿を貯留させて検査した。膀胱内空虚時のDRは,自然排尿後のDRとした。分類は半定量的と形態的に行った。半定量的では腎盂尿管移行部 (UPJ) 狭窄1腎,矮小腎3腎,骨盤腎1腎が,形態的には膀胱尿管逆流 (VUR) の9腎,UPJ狭窄1腎,尿管膀胱移行部(UVJ) 狭窄1腎,尿管瘤1腎が判定された。DRの経過から尿管膀胱新吻合術を行ったVURに,初回VCGではVURがない例やI~II度の例を認めた。又,吻合術を行ったVURの中に,DRで判定困難なものがあり,VURの診断と経過観察にはVCGとDRが必要であった。排尿時DRはVURや水尿管の診断に有用であった。膀胱内尿貯留時DRは,新生児や乳幼児のエコー,検尿後の第2次精査や経過観察に有用であった。