抄録
11歳男児。発熱, 喘鳴, 血痰を主訴に当科入院した。生後6カ月からBCG接種部びらんが2年間持続し, 6歳時, 左腋窩リンパ節結核で治療された。入院時, ツ反強陽性で, 左肺呼吸音減弱, ラ音, BCG接種部瘢痕形成を認めた。喀痰抗酸菌塗抹陰性, polymerase chain reaction (PCR) 検査陰性, 結核患者との接触なく診断に苦慮したが喀痰培養検査で人型結核菌と診断し得た。各種画像検査で播種性全身結核と診断し, SM, INH, RFP, EBで治療し速やかに改善した。臨床経過からBCG, 結核に対する免疫低下が疑われたが, 入院時HLA-DR+細胞およびNK細胞増多, 血清IFN-γ 軽度高値, マイトゲンに対するリンパ球幼若化反応低下を認めたのみで原発性免疫不全症は否定的であった。