日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹膜悪性中皮腫の診断にFDG-PETが有用であった1例
辻 勝成權 雅憲北出 浩章今村 敦高田 秀穂
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2007 年 68 巻 9 号 p. 2367-2371

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抄録

症例は75歳, 男性. 腹部膨満感を主訴に前医受診. 精査の結果, 胆嚢結石症と腹水貯留を指摘され, 加療目的で当科紹介となる. その後も腹水量が増加するため, 原因の精査を行った. 腹水細胞診を含め, 精査の結果は, いずれも悪性疾患を確定するには至らないものの, 経過からは悪性腹水を疑うものであった. そこでFDG-PETを施行し, 腹腔内に悪性腫瘍の存在を示す所見を認めたため, 今後の化学療法など治療方針を決定する事を目的として腹腔鏡下生検術とそれに引き続く試験開腹術を施行. その結果, 腹膜悪性中皮腫の診断を得た. FDG-PETが腹膜悪性中皮腫においても陽性所見を呈したことは, 本症の診断におけるFDG-PETの有用性を示唆するものと考えられた.

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© 2007 日本臨床外科学会
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