異なる原因で発症した上腸間膜動脈症候群2症例を経験した.症例1:29歳,女性.上腹部痛と嘔吐,体重減少にて来院した.腹部CTおよび上部消化管造影にて十二指腸水平部の不完全閉塞をみとめ,上腸間膜動脈症候群と診断した.保存的に治療するも軽快しないため,22病日に十二指腸空腸吻合術を施行した.術後経過は良好であった.症例2:80歳,男性.血便の精査で下行結腸癌,直腸癌の重複癌と診断し,左結腸切除術+低位前方切除術+D3郭清を行い,横行結腸と直腸との端々吻合にて再建した.術後11日目に嘔吐出現したため,上腹部CTおよび上部消化管造影を施行した.その結果,術後上腸間膜動脈症候群と診断し,保存的に経過観察した.術後34日目より食事開始し,その後,経過は良好であった.発症原因,治療法の異なる2症例を経験したので,文献的考察を加え報告する.