日本臨床外科学会雑誌
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症例
粘液産生胆嚢癌の1切除例
宇野 秀彦三橋 登鈴木 大亮大塚 将之木村 文夫宮崎 勝
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キーワード: 胆嚢癌, 粘液産生腫瘍
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2009 年 70 巻 12 号 p. 3656-3661

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抄録

症例は49歳,女性.平成17年2月上腹部痛にて当科紹介入院.血液検査ではCA19-9が1,196U/mlと上昇を認めた.腹部超音波検査では胆嚢体部に40mm大の乳頭状腫瘍を認めた.腹部CTでは胆嚢内に造影効果をもつ乳頭状腫瘍を認め,#12cリンパ節は12mm大と腫大を認めた.MRCPにおいて,腫瘍は胆嚢内に認めるものの,胆管の狭窄像は認めなかった.腹部血管造影では,胆嚢動脈領域に腫瘍濃染,encasementを認めた.以上よりss以深胆嚢癌の診断で,肝中央下区域切除・肝外胆管切除・肝管空腸吻合術を施行した.摘出標本肉眼像にて胆嚢内は黄色の粘液で満たされていた.病理像では中分化型管状腺癌でありss,pT2,pN2,Stage IIIであった.術後経過は良好で術後28日で退院し,術後4年現在無再発生存中である.粘液産生胆嚢癌は本邦で自験例を含め19例と稀な疾患である.若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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