抄録
地形再現性の高いデジタル地形データである航空機レーザスキャナDEM (ALSDEM) を用いて, 傾斜量図に高度段彩図を重ね合わせた新しい地形表現手法である「カラー標高傾斜図 (ELSAMAP) 」を開発し, 地形の判読性について検討した. ELSAMAPは標高と地形の情報を同時に表現するため, 両者の特徴を活かした直感的な地形判読が可能である. ELSAMAPを用いて十勝平野断層帯の2地区についてその有効性の検討を行った. その結果, 段丘面の区分および段丘面上の浸食・堆積地形を詳細に把握することができた. 十勝平野断層帯の北部においては稲穂断層に対応する断層変位地形が認められないこと, 広尾町上野塚の光地園断層においては, 丘陵地内の断片的な地形面が確認でき, 変位量を従来よりも精度よく判読できることがわかった. ELSAMAPは, 標高の微妙な変化を判読するような地形, 例えば低地の微地形, 段丘地形, 火山地形などの地形判読にとくに有効な地形表現であり, さまざまな地形発達史を考えるうえでの重要な基礎データを提供することが可能である.