歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
ヒトにおける第3大臼歯先天欠如と他歯欠如の関係
山田 博之花村 肇
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 35 巻 2 号 p. 197-204

詳細
抄録

日本人の永久歯について, 第3大臼歯の欠如が他の歯の欠如にどのように影響しているかを明らかにする目的で研究を行った。調査は20歳以上の男性607名について先天欠如歯の頻度をX線写真により調査した。埋伏歯は存在歯とみなした。また第3大臼歯の存在群と欠如群について他歯欠如の頻度に変化があるか分析した。その結果, 第3大臼歯の1歯以上欠如率は28.7%, 第3大臼歯以外の歯の欠如率は6.8%であった。第3大臼歯の欠如群と存在群について他歯欠如を比較してみると, 欠如群の方が3.5倍多く他歯を欠如し, 両群間に有意差が存在していた。また歯数不足は乳歯列あるいは代生歯列の遠心端に位置する歯に多く現れていた。これらの結果から第3大臼歯の欠如と他歯欠如の間には深い関係が存在することが分かった。また先天欠如歯の発現部位から歯数不足は系統発生的意義が強いことが示唆された。

著者関連情報
© 歯科基礎医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top