本研究では, ニワトリ軟骨細胞の小胞体 (ER) のCa
2+結合の特徴を検索した。すなわち, digitoninで透過性を高めた細胞を用い, ミトコンドリヤのCa
2+の取り込みをrathenium redで阻害後, Ca2+の取り込みおよび放出に対するvanadate, ATP, 1, 4, 5-inositol triphosphate (IP
3), glucose, glucose 6-phosphateおよび無機リン (Pi) の影響を検討した。
その結果, Ca
2+の取り込みは, vanadateで阻害されATP添加で増加すること, PiはATPに依存したCa2+の取り込みを著しく増加させること, IP
3はERに蓄積されたCa
2+の放出を促すことが判明した。しかし, glucose 6-phosphateはほとんど影響しなかった。また, ERにreticuloplasminと同じ分子量のCa
2+結合蛋白が存在することが示された。以上の所見から, 細胞内Pi上昇させるような機構がERのCa
2+維持に働いており, 細胞内Piが軟骨のCaの移動に中心的な役割を演じていることが示された。
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