2000 年 25 巻 2 号 p. 89-93
除草剤ペントキサゾン (3-(4-chloro-5-cyclopentyloxy-2-fluorophenyl)-5-isopropylidene-1, 3-oxazolidine-2, 4-dione) の土壌微生物による代謝分解について考察するため, 4種の日本産耕地土壌 (山形, 牛久, 岩手, 立川) を微生物源として接種した液体培地中に14C標識体を添加し, その分解物を調査した. いずれの土壌を接種した場合も分解物の消長はほぼ同様の傾向を示した. すなわち添加したペントキサゾンは急速に減少し, オキサゾリジン環部位の加水分解物であるA-0505が生成し, 最大で施用量の57%に達した. A-0505の減少に伴い, その還元体であるA-1374が最大で71%まで増加した. このほか, アニリン誘導体であるA-1168, もう1種の加水分解物であるペントキサゾン水和体および1種の未同定化合物が最大で10%を超えて検出された. 以上のことから, ペントキサゾンは土壌中におそらく普遍的に存在する微生物群により容易に分解されうることがわかった. これらの水/土壌環境中で増殖可能な微生物群は, ペントキサゾンを他の微生物群によって利用されやすい形態に変換することにより, 代謝分解を促進することに重要な役割を果たしていることが推察された.