Journal of Pesticide Science
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テトラメスリン異性体のラットにおける代謝
金子 秀雄大川 秀郎宮本 純之
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1981 年 6 巻 4 号 p. 425-435

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抄録

テトラメスリン [3,4,5,6-tetrahydrophthalimidomethyl (1RS, trans, cis) chrysanthemate] の [1R, trans]-および [1R, cis]-体の14C標識体 (アルコール側および酸側のカルボニル基標識) を3.2から5.3mg/kgの割合で雌雄ラットに1回経口または皮下投与すると, 14Cは速やかにかつほぼ完全に体外に排泄され, 組織残留量もきわめて少なかった. trans異性体では cis 異性体よりいくぶんより完全に14Cが排泄され, またより低い14C組織残留量を示した. さらに酸側標識体はアルコール側標識体に比べて若干低い14C組織残留量を示した. 全14C回収率および組織残留量に関しては, 性および投与経路間で顕著な差は認められなかった.
trans および cis 異性体は, ともにエステル結合の開裂, アルコール側の1-2位結合の還元, 酸側のイソブテニル実基およびアルコール側の2,3および4位の酸化を経て代謝され, これらの反応を経て生成した代謝物は一部グルクロン酸抱合体として排泄された. 両異性体の酸側の主要代謝物はイソブテニル基の trans 位メチル基がアルゴールまたはカルボン酸にまで酸化された菊酸誘導体であった. また, アルゴール側からの主要代謝物は cyclohexanedicarboximide の2,3および4位の水酸化体であった. これら代謝物の割合には両異性体間で差が認められた. しかし, 代謝物の性質および量に関しては, 性および投与経路間で顕著な差は認められなかった。

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