雪腐病抵抗性強化の重要性と遺伝資源 寒地や寒冷地の多雪地帯における小麦栽培安定のためには品種の雪腐病抵抗性を向上させて冬損害をなくすることが重要な目標となる. わが国における雪腐病抵抗性育種の経緯を品種の系譜(福永・稲垣1985)からみると,雪腐病抵抗性に関与する遺伝因子は北海道の開拓使時代に北米から導入されたMartin's Amber,Dawson's Golden Chaff,Turkey Red IIなどの品種に由来するとみられる.とくにTurkey Red1×Martin's Amberの組合せからは本育49号,本育51号,本育52号などわが国の雪腐病抵抗性育種の母材となった多くの系統が育成された.それらのうち本育52号は赤鋳不知1号としてそれまで秋播栽培が極めて不安定であった北海道の秋播小麦の作付の進展に大きく貢献した