抄録
はり部材の細長比から定まるある限界振動数より高次の振動数領域において,Timoshenkoはり理論(TB 理論)の動的解の精度は保証されていない.ここでは,固有振動は波動方程式より求まる定在波であるという立場から,厳密な3次元理論に照らし合わせて TB 理論で算定される固有振動数の精度の考察を行った.その結果,高次振動数の定在波は,単純ばりを除き,2種類のモードの位相速度で伝播する横弾性波から生じる2つの定在波が重なり合ったものであり,各固有振動数と位相速度曲線との対応を調べることにより,第2モードの位相速度の精度が TB 理論の精度を支配することを示した.このことから,TB 理論が限界振動数を超えて適用される場合,はりの細長比によりその適用可能領域を見定める必要があることを示した.