抄録
心房細動(AF)患者の生命予後を改善するのはリズム治療かレート治療かという重要な問いに答えるため,欧米ではAFFIRMをはじめとする複数の大規模臨床試験が実施された.その結果,多くの予想に反して,レート治療の予後改善効果はリズム治療に劣らず,むしろ勝る傾向が示された.一方,日本独自のエビデンスを得ることを目的に行われた大規模臨床試験J-RHYTHMでは,発作性AFに関しては欧米とは逆に,リズム治療のほうがレート治療よりも有意に勝るという結果であった.このように相反する結果となったのは,対象患者や使用する薬剤,評価項目などの違いが大きく影響している.エビデンスから得られるメッセージを正しく理解するには,各試験の特徴を正確に把握することが重要である.