2006 年 13 巻 4 号 p. 423-430
ヨード系造影剤を使用する画像診断の件数の増加,また腎障害,糖尿病,高齢など造影剤腎症のリスクファクターを持つ対象症例の増加で,低腎毒性の造影剤の普及にもかかわらず,造影剤腎症はいまだ頻発する医原性疾患であり,その防止には大きな関心が寄せられている。しかし,発症機序にも不明な点が多く,現時点では,造影剤使用量の低減,脱水の補正のみが確立した防止策であり,国内外にかかわらずしばしば行われてきた,いわゆる予防的血液透析の有用性も,現在は否定されている。造影剤の使用,特に高リスク症例への使用にあたっては,医師はこのような造影剤腎症に関する最新の見解や対応策を理解しておく必要がある。