日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
最新号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
編集委員会より
2022年度論文賞受賞者のことば
今号のハイライト
総 説
  • 小尾口 邦彦
    原稿種別: 総説
    2023 年 30 巻 3 号 p. 163-169
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー

    日本の集中治療領域では国際的に承認されていない独自の薬剤や医療機器があり,時にガラパゴス化と呼ばれる。2000年以後に認可された独自治療の国内認可試験と公開審査議事録を検討した。シベレスタットは,国内第Ⅲ相試験で有効性を示せなかったが,追加の単 一群試験の人工呼吸器離脱日数が最初の第Ⅲ相試験やARDS network試験を上回り,認可された。シベレスタットの国際試験は,中間解析の180日死亡率において対照群よりも劣ったため,早期中止された。トロンボモジュリンは国内第Ⅲ相試験のDIC離脱率においてヘパリンに対して非劣性を示し,認可された。トロンボモジュリンは,国際試験の28日死亡率において対照群に対して優位性を示せず,海外において認可されていない。AN69ST膜を用いた血液濾過器は,敗血症を対象として単一群試験が行われ,28日生存率がAPACHEⅡスコアによる予測生存率に比して著しく高かったため,敗血症の保険適用を得た。日本の医薬品や医療機器の臨床試験において,死亡率よりも代用指標や単一群試験結果が重視されて認可されることがある。

原 著
  • 中峯 奈央子, 水野谷 和之, 佐々木 慶子, 出村 理海, 斉藤 仁志, 森本 裕二
    2023 年 30 巻 3 号 p. 171-177
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー

    【目的】外傷や敗血症患者で過大腎クリアランス(augmented renal clearance, ARC)が報告されている。本研究では,これまで報告が少ない腹部大手術におけるARC発生状況を調査し,発生リスク因子を検討した。【方法】2018年10月から2021年3月に当院ICUに入室した肝胆膵長時間手術後患者をARC発生の有無で比較検討した。6時間蓄尿によるクレアチニンクリアランス(creatinine clearance, CrCl)≧130 mL/min/1.73m2をARCと定義した。【結果】対象144例(年齢中央値71歳)のうち,ARC発生は55例(38%)であった。多変量解析の結果,年齢(若年),術前腎機能,術中赤血球輸血がARC発生と関連していた。術翌日の推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate, eGFR)とCrClには比例誤差を認め,ARC症例では大きな乖離が生じていた。【結語】高齢患者群でも術前腎機能が正常であれば肝胆膵手術後のARCは高率に発生し,その認識にはCrClによる評価が必要である。

症例報告
  • 堀田 幸造, 河野 直樹, 松田 英之, 宮田 昭彦, 今井 逸雄, 佐藤 幸人
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 30 巻 3 号 p. 179-182
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー

    症例は80歳代の女性。急性冠症候群に伴う心原性ショックで救急搬送となり,緊急カテーテル治療を行った。術中より血行動態の悪化を認め, 人工呼吸管理・大動脈内バルーンパンピング留置と強心薬投与で集中治療室管理となった。術後も心原性ショックが遷延する状況であった。胸部聴診上, 第4肋間胸骨左縁で収縮期駆出性雑音を認め, さらに,心臓超音波検査でS字状中隔(sigmoid septum)と左室流出路の加速血流を認めたため, 左室流出路狭窄を疑い, 大動脈内バルーンパンピングと強心薬投与を中止した。中止後より血行動態の改善を認め, 心臓超音波検査ではsigmoid septumはあるものの左室流出路に加速血流や圧較差は認めなかった。本症例は,もともとsigmoid septumを有していた高齢女性の心筋梗塞による代償性の心基部の壁運動亢進で動的左室流出路狭窄が生じて血行動態が不安定となったところに, 大動脈内バルーンパンピングと強心薬を使用したことで左室流出路の圧較差が増大して血行動態が増悪したと考えられた。

短 報
委員会報告
  • 日本集中治療医学会危機管理委員会
    2023 年 30 巻 3 号 p. 191-201
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー

    多発する自然災害や新型コロナウイルス感染症の流行により,多数の重症患者が同時に発生する危険性が高まっている。日本集中治療医学会の危機管理委員会は,ICUの災害対応の指針とするべく「災害時の集中治療室 日頃の準備から発災後まで─ICU対応ガイダンス」を2020年に発刊した。しかし,本邦のICUでの災害準備体制や,実際の多数患者発生時の対応状況は明らかでない。今回我々は,本邦のICUでの災害に対する準備状況や,東京オリンピック・パラリンピック期間中の新型コロナウイルス感染症による多数患者発生時に全国のICU が行った対応を調査するために,アンケート調査を行った。その結果,災害準備としての,段階的なサージ・キャパシティの設定,ICU拡張や複数ICUの統合運用の計画,災害時のICU 入退室基準の設定,ICU以外の職員の応援体制の確立など,多くの項目で不十分である現状が明らかになった。さらに,多数患者発生時の,ICU拡張や統合運用,入退室基準の変更などの施行率は低く,柔軟な対応の難しさと,事前準備の重要性が改めて示唆された。

  • 日本集中治療医学会小児集中治療委員会日本小児集中治療連絡協議会新興再興感染症ワーキンググループ, 日本集中治療医学会小児集中治療委員会
    2023 年 30 巻 3 号 p. 202-207
    発行日: 2023/05/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー

    日本集中治療医学会小児集中治療委員会による新型コロナウイルス関連小児重症・中等症例のオンライン登録システムでは, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第6波において症例数が増加し,2022年1月から6月までの半年間に225例が登録された。第6波においては第5波では見られなかったCOVID-19関連クループが新たに報告され,登録症例の10%にのぼった。また,中枢神経系の異常を呈した症例の報告も14%から30%に増え,うち20%が小学生であることなど,臨床像に変化が見られた。本報告では第5波と第6波を比較してCOVID-19の臨床像について報告する。

エラータ
feedback
Top