日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
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最新号
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編集委員会より
今号のハイライト
症例報告
  • 木村 康宏, 西澤 英雄, 藤本 潤一, 七尾 大観, 大和田 玄, 金子 尚樹
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 31 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/01
    ジャーナル フリー

    妊娠関連非典型溶血性尿毒症症候群(pregnancy-associated atypical hemolytic uremic syndrome, P-aHUS)を疑いエクリズマブを投与したところ,腎機能の速やかな改善を認めた症例を経験したので報告する。症例は24歳,女性。帝王切開後に血小板減少,溶血性貧血,腎機能障害をきたし,当院に転院となった。血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura, TTP)あるいはP-aHUSを疑い,入院2日目から血漿交換療法を2日間,連日施行した。 分娩後発症であること,中枢神経症状が全くないこと,腎機能障害が高度であることから,TTPよりもP-aHUSの可能性が高いと考え,入院3日目より抗補体療法(エクリズマブ900 mg/week)を開始したところ,入院4日目から血小板数が上昇,入院5日目から血清Cr値が低下し,以降は血小板数,Cr値ともに順調に改善した。入院7日目にa disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs, number 13(ADAMTS13)活性が正常であることが判明し,TTPは否定された。臨床的にaHUSが疑われる場合は,鑑別診断を進めると同時に,可及的速やかに抗補体療法の導入を検討することが重要である。

  • 寺島 良, 古賀 貴博, 拜殿 明奈, 蜂谷 聡明, 南 啓介, 髙松 優香, 太田 圭亮, 明星 康裕
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 31 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/01
    ジャーナル フリー

    外傷性鎖骨下動脈損傷は第1肋骨骨折に合併し,受傷直後に発症することが多い。今回,受傷36時間後に鎖骨下動脈損傷を発症し,血管内治療で救命し得た症例を経験した。症例は60歳代の女性。交通事故のため救急搬送された。右多発肋骨骨折,右血気胸,左第1肋骨骨折,骨盤骨折を認めた。左第1肋骨骨折端は鋭利な斜骨折をきたしていた。右血気胸に胸腔ドレーン挿入,骨盤骨折に創外固定を行い,入院した。受傷36時間後に誘因なく突然,左鎖骨部の疼痛と腫脹を認め,ショック,呼吸不全となった。補液により循環動態は安定し,造影CTで左血胸と第1肋骨骨折部の近傍に左鎖骨下動脈損傷を認めた。左血胸には胸腔ドレーンを留置し,鎖骨下動脈損傷には血管内ステントグラフトを留置した。その後は状態が安定し,第14病日にはICUを退室した。第1肋骨の鋭利な骨折端が鎖骨下動脈の近傍にある場合は,遅発性鎖骨下動脈損傷が起こる可能性があり,注意して経過をみる必要がある。

短報
レター
委員会報告
  • 日本集中治療医学会2022年度・2023年度ダイバーシティ委員会
    2024 年 31 巻 2 号 p. 159-166
    発行日: 2024/03/01
    公開日: 2024/03/01
    ジャーナル フリー

    日本集中治療医学会は,会員の多様性を重視し,2022年4月にダイバーシティ委員会を設置し,現状調査を行った。2023年9月時点の一般会員と准会員の総数は11,140名で,医師が72%,看護師が17%を占めた。集中治療専門医は,2,550名で,女性の割合は13%であり,女性医師会員の専門医取得率21%は男性医師会員の専門医取得率35%に比較して低い結果であった。また,理事や評議員に占める女性の割合も他の基本領域と比較して低い傾向にあり,改善の余地があった。当委員会はこれらの調査結果を踏まえ,ダイバーシティの推進を図るための方策を提案する。

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