日本集中治療医学会雑誌
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最新号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
編集委員会より
今号のハイライト
学会創立50周年記念特集
  • 西田 修
    原稿種別: 総説
    2024 年 31 巻 4 号 p. 247
    発行日: 2024/07/01
    公開日: 2024/07/01
    ジャーナル フリー
  • 土井 研人
    原稿種別: 総説
    2024 年 31 巻 4 号 p. 248-252
    発行日: 2024/07/01
    公開日: 2024/07/01
    ジャーナル フリー

    急性腎障害(acute kidney injury, AKI)は血清クレアチニン濃度上昇と尿量減少により診断され,幅広い疾患スペクトラムを有する症候群である。患者背景と医療の進歩により,急性腎不全(acute renal failure, ARF)と呼ばれていた治療対象に変化が生じ,新たにAKIという概念が提唱されて20年近くが経過した。その後,AKIの中長期的な予後が慢性腎臓病(chronic kidney disease, CKD)への移行という形で注目されるようになり,遷延するAKIはacute kidney diseases and disorders(AKD)として認識され,中長期的予後に焦点を当てたmajor adverse kidney even(MtAKE)という複合エンドポイントも広く使われつつある。 CKDはAKI発症のリスクであり,AKIはCKD進展のリスクである,すなわちAKIとCKDは互いのリスク因子として作用する悪循環を形成しうる。したがって,AKIは可逆的かつ短期的な病態というよりも,中長期的に遷延および進行する腎障害のうち,一時的に急峻に障害が悪化する局面として認識すべきかもしれない。集中治療におけるAKIを長期的な視点で見る必要がある。

  • 大島 拓
    原稿種別: 総説
    2024 年 31 巻 4 号 p. 253-260
    発行日: 2024/07/01
    公開日: 2024/07/01
    ジャーナル フリー

    重症患者の複雑な代謝動態を考慮しつつ,身体の要求に対して必要十分な栄養投与を行うための手段として,モニタリングの重要性が認識されている。重症病態の急性期には高度な生体侵襲により,代謝は著しく亢進する場合もあれば,抑制された状態となる場合もあり,侵襲の種類や程度,治療介入,病態の変化や合併症の発症などによって劇的に変化する。間接熱量測定法により消費エネルギー量を測定し,代謝特性に配慮しながら,過不足なくエネルギーを投与することが推奨されている。タンパク質についてはエネルギーほど消費量と必要量の関係性が明確ではなく,窒素バランスによる喪失量の評価や,体組成評価による筋肉量の変化などから,相対的に評価される。モニタリングは,その仕組みや限界を理解して,活用することが求められる。栄養投与の最適なタイミングや必要量を簡便に把握できるようになり,より適切な栄養療法を提供できる環境が整うことが望ましい。

症例報告
  • 成谷 俊輝, 黒田 浩佐, 岡原 修司, 鈴木 聡, 金澤 伴幸, 清水 一好, 岩崎 達雄, 森松 博史
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 31 巻 4 号 p. 261-265
    発行日: 2024/07/01
    公開日: 2024/07/01
    ジャーナル フリー

    小児の長期にわたる鎮静は,薬剤耐性や医原性離脱症候群(iatrogenic withdrawal syndrome, IWS)を引き起こし,管理に難渋する場合がある。患者は14歳,男児。劇症型心筋炎と診断され左心補助人工心臓を必要とし,鎮痛鎮静薬は高用量かつ長期間投与となった。 抜管に向けてIWS発症回避のため薬剤漸減の必要があったが,その過程での安全な管理のために抜管までは鎮静度の維持が必要と考えた。ミダゾラムとフェンタニルは12時間ごとに5%ずつ減量し,その間は適応外使用としてケタミン,イソフルラン,プロポフォールを順に投与し,鎮静度を維持した。プロポフォール中止後は速やかに覚醒が得られたため抜管し,ミダゾラム,フェンタニル中止後にデクスメデトミジンを漸減終了した。経過中はプロポフォール注入症候群,IWS,悪性高熱症を疑う所見を認めなかった。

  • 小古山 由佳子, 原田 顕治, 村松 宏紀, 讃井 將満, 苅尾 七臣
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 31 巻 4 号 p. 266-270
    発行日: 2024/07/01
    公開日: 2024/07/01
    ジャーナル フリー

    心膜減圧症候群は,心タンポナーデに対する心嚢ドレナージ後の比較的早期に急激な心原性ショックをきたす,致死率の高い稀な病態である。41歳の男性に,前縦隔腫瘍の浸潤による心嚢液貯留に対して心嚢ドレナージを施行した。その直後に突然の両心室不全となり,心原性ショックをきたした心膜減圧症候群と診断し,カテコラミン併用下にvenoarterial extracorporeal membrane oxygenation(VA-ECMO)と大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping, IABP)を導入し,救命しえた。心嚢ドレナージ後に血行動態が破綻した際は本疾患を念頭に置き,早期診断と躊躇ないECMOなどの補助循環の導入と循環動態回復までの支持療法を行うことが,この合併症の救命率の上昇に寄与する可能性があると考えられる。

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