日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
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32 巻
選択された号の論文の47件中1~47を表示しています
症例報告
  • 髙野 隼, 宇佐美 健喜, 有野 聡, 佐々木 庸郎, 小島 直樹, 稲川 博司, 岡田 保誠, 佐久 早織
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R5
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/10
    ジャーナル フリー

    New-onset refractory status epilepticus(NORSE)は,てんかんの既往のない者が突然発症する難治性てんかん重積状態とされる。それに対して,米国てんかん学会においてketogenic diet(KD)の考慮が推奨されている。今回,人工呼吸管理下にKDを導入し,良好な転帰を得たNORSEの1例を経験した。症例は大きな既往のない27歳,男性。COVID-19罹患後に難治性てんかん重積状態となり,NORSEと診断した。多剤抗痙攣薬投与と全身麻酔を導入したが発作のコントロールが不良であった。ステロイド,免疫グロブリンの投与を行ったが発作のコントロールが不良で,KDを導入した。本邦では,経管栄養で使用可能な成人用のKD製剤が存在しないため,独自のKDを作製し投与した。長期の集中治療管理が必要であったが,次第に発作のコントロールがつき,良好な転帰を得た。成人の難治性てんかん重積状態に対するKDの有効性は小児ほど確定してはいないが,有効性と安全性を強調する報告は増えつつある。管理に難渋する成人のNORSE症例にもKDを考慮してもよいかもしれない。

  • 向江 美智子, 牧 誉将, 濱 義明, 川手 章史, 進藤 美智子, 江田 陽一
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R3
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/10
    ジャーナル フリー

    ホルネル症候群は様々な要因で発症することが報告されているが,胸骨正中切開術後の合併症としてあまり認識されていない。今回我々は,術前から発汗過多があり,術後にホルネル症候群と診断し得た症例を経験した。その経験を契機とし,胸骨正中切開術後のホルネル症候群を3年間で5症例経験した。腕神経叢障害も胸骨正中切開術後の合併症である。上位肋骨骨折を来すような強い外力が加わらないよう開胸器を使用することで,どちらの合併症も減じ得る可能性がある。医療者は胸骨正中切開術後の合併症として,ホルネル症候群を認識しておく必要がある。

  • 鈴木 剛, 三澤 友誉, 塚田 泰彦, 小野寺 誠, 伊関 憲
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R14
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/15
    ジャーナル フリー

    43歳,男性。インフルエンザウィルス感染を契機に重症肺炎となり人工呼吸管理,およびvenovenous extracorporeal membrane oxygenation(VV-ECMO)が導入された。その後入院10日目に血圧低下を認めショックとなった。経胸壁心臓超音波検査で右心室の拡大,および左心室壁の圧排を認め右心不全によるショックと判断した。しかし,ドブタミンの使用後もショックであったため,venoarteriovenous ECMO(V-AV ECMO)へ回路変更した。変更後は右心不全,ショックは改善し,入院15日目にV-AV ECMOを離脱した。入院20日目に人工呼吸を中止,入院36日目にリハビリテーションを目的に転院した。VV-ECMO中に右心不全およびショックを示す場合,venoarterial ECMOへの回路変更はdifferential hypoxemia への懸念があるためV-AV ECMOへの回路変更が有用かもしれない。

  • 森田 知佳, 松本 尚也, 坂平 英樹, 柿木 啓太郎, 酒井 哲也
    原稿種別: 症例報告
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R29
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/14
    ジャーナル フリー

    SGLT2阻害薬の周術期合併症に糖尿病性ケトアシドーシスが多く報告されているが,多尿で循環管理に難渋した報告も少数だが散見される。症例は,腹部手術目的に入院となった80代,女性。糖尿病に対してSGLT2阻害薬を内服中であり,術前は3日間の休薬を行った。術後1日目に多尿による高度脱水を認めたため,バソプレシン(AVP)を投与したところ尿量のコントロールに効果的であった。各種検査から,多尿の原因はSGLT2阻害薬の薬効遷延が疑われた。通常,SGLT2阻害薬投与下では尿糖排泄による浸透圧利尿作用はあるものの,体液バランスは維持されている。この恒常性維持にAVPが関与していると考えられており,今回,SGLT2阻害薬の薬効遷延に加え,手術侵襲に伴うAVP分泌不全により多尿を来したと考えられる。そのため,AVP投与が尿量のコントロールに有効であった可能性がある。

  • 村松 俊, 岡野 弘, 林 怜史, 石井 賢二, 重城 聡, 青木 和裕, 岡本 洋史
    原稿種別: 症例報告
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R30
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/14
    ジャーナル フリー

    重症急性膵炎の関与が疑われた呼吸循環不全に対し,静脈脱血-動脈送血(veno-arterial, VA)体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation, ECMO)を導入し,救命した症例を経験した。症例は45歳,男性。心窩部痛と低酸素血症を認めICUへ搬送された。入室時原因不明の著明な低酸素血症と循環不全を認め,VA-ECMOを導入した。第2病日にVA-ECMOを離脱,第6病日に人工呼吸器を離脱した。入院時の血液検査で膵酵素の上昇とCT検査で膵頭部の軽度の脂肪織濃度上昇を認めており,原因精査目的に第7病日に胸腹部造影CTを実施したところ,膵全体の腫大を認めGrade Ⅱの重症急性膵炎の所見を認めた。入室時原因不明と考えていた呼吸循環不全は重症急性膵炎によるものであったと考えた。その後は良好な経過を辿り,第11病日にICUを退室し,第24病日に独歩退院した。重症急性膵炎に伴う重篤な呼吸循環不全に対して,VA-ECMOによる呼吸循環補助により救命し得た1例を経験した。

  • 吉盛 太朗, 宮崎 嘉也
    原稿種別: 症例報告
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R33
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/15
    ジャーナル フリー

    Lemierre症候群は,咽喉頭感染を契機に内頸静脈の敗血症性血栓性静脈炎から全身臓器の敗血症性塞栓症に至る重症感染症である。強い咽頭痛は初期症状の1つであるが,COVID-19と鑑別は困難である。また,臓器障害は肺や関節で多いが,中枢神経系では少ない。今回我々は,COVID-19で隔離中に発症したLemierre症候群の1例を経験した。経過中には脳炎,脳膿瘍や内頸動脈狭窄,脳梗塞などの多彩な中枢神経系合併症を伴った。強い咽頭痛の診療では,重症咽頭感染症やCOVID-19との鑑別に注意し,Lemierre症候群の場合,重症例では中枢神経系合併症を念頭において注意深く経過観察を行い,頭部画像検査も検討する必要がある。

  • 牛田 多美, 沓澤 智子, 秋月 有紀, 大山 太, 赤坂 理
    原稿種別: 症例報告
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R36
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/15
    ジャーナル フリー

    医療者が患者の異常を察知する指標の1つである顔色不良は主観的な評価である。そこで,分光測色計を用いて,ショック患者の前額皮膚色を経時的に測定し,皮膚色をL(明度),a(赤み),b(黄み)値で表示し,その変化と関連因子を明らかにするため研究を実施した。患者9名を対象に3時点で測色した。16回の測定間で,「L低下・a上昇」(顔色改善)が6回,「L上昇・a低下」(顔色不良)が3回認められた。顔色改善には平均動脈圧やヘモグロビン値より乳酸値の低下が関連することが示され,皮膚色変化は病態変化と関連すると推測された。

  • 近藤 研太, 長島 道生, 比企 誠, 門田 勝彦, 藤原 大介, 川越 いづみ, 三高 千惠子
    原稿種別: 症例報告
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R37
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/14
    ジャーナル フリー

    要約:コントロール不良の甲状腺機能亢進症の抜管時期に関しての報告はなく,様々な刺激で甲状腺クリーゼとなるため慎重な管理を要する。症例は49歳,男性。Basedow病の既往歴がありチアマゾールを処方されていたが半年前より自己中断していた。十二指腸穿孔と診断され,チアマゾールとヒドロコルチゾンを静脈注射後に緊急手術を実施した。術前は甲状腺クリーゼの確実例としての診断基準は満たしていなかった。甲状腺機能亢進状態であったため,術後は抜管せずにICUに帰室し,術後第2病日に抜管した。抜管後に急性心不全となり,不穏状態となった。抜管を契機に甲状腺クリーゼが顕在化したため,再挿管となった。ヨウ化カリウムの投与を追加し,甲状腺ホルモンのコントロールが十分に得られたことを確認後に再抜管し,以降の経過は良好であった。抜管の際は甲状腺機能亢進に対する治療が十分に行われていることを確認し,交感神経が過緊張にならないような管理をする必要がある。

  • 桑原 麻菜美, 石原 旭, 徳永 健太郎, 江嶋 正志, 鷺島 克之, 平田 直之
    原稿種別: 症例報告
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R43
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/13
    ジャーナル フリー

    食餌性ボツリヌス症は非常に稀で,合併症の報告も少ない。今回異なる合併症を呈した2症例を報告する。症例1:41歳,女性。複視,構音障害,四肢筋力低下で受診した。問診よりボツリヌス症が疑われた。抗毒素投与後も筋力回復は乏しく,第4病日に気管切開を実施した。第6病日に非閉塞性腸管虚血(non-occlusive mesenteric ischemia, NOMI)を発症し手術を実施した。術後経過は良好で第17病日にICUを退室した。症例2:48歳,男性。複視,構音障害で受診した。症例1の配偶者であり,ボツリヌス症が疑われた。抗毒素投与後も人工呼吸器離脱に至らず第4病日に人工呼吸器関連肺炎を発症した。第12病日に気管切開を実施し,第20病日に人工呼吸器を離脱した。ボツリヌス症治療経過中に合併症としては稀なNOMIを発症したが,救命することができた。ボツリヌス症は他の神経筋疾患との鑑別に難渋する場合もあるが,本症例では同伴家族からの問診により迅速に診断し治療開始することができた。

  • 岡﨑 裕介, 錦見 満暁, 大野 真実, 下村 啓祐, 宮口 昂樹, 田邉 優子, 大下 慎一郎, 志馬 伸朗
    原稿種別: 症例報告
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R44
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/13
    ジャーナル フリー

    下気道検体からのカンジダ検出は、肺炎と定着の鑑別が難しく,確定診断には侵襲性の高い肺生検が必要となる。今回我々は発熱性好中球減少症の患者に対して,画像所見および組織培養結果から臨床的にカンジダ肺炎と診断したが,致死的な経過をたどり救命できなかった症例を報告する。症例は72歳,男性。中咽頭癌の診断で化学療法が行われ,入院13日目に発熱性好中球減少症を合併し入院16日目に血圧が低下したためICUへ入室した。CTでカンジダ肺炎に特徴的な所見を認め,痰培養や気管支肺胞洗浄液からはCandida albicansのみ検出された。定着との鑑別のために経気管支肺生検による組織培養と病理細胞診で診断したが,致死的な経過をたどり入院39日目に死亡した。免疫不全患者にカンジダ肺炎に特徴的な画像所見があり,下気道検体から繰り返しカンジダが検出される場合は,可能な限り他疾患を除外した上でカンジダ肺炎を治療対象とすることも検討され得ると考える。

  • 船登 有未, 植村 樹, 杉山 茉祐, 松田 航, 小林 憲太郎, 中野(田村) 美和, 尾山 千夏, 佐々木 亮
    原稿種別: 症例報告
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R46
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/30
    ジャーナル フリー

    強塩基性のチオペンタールは酸性薬剤との混和で沈殿を生じるため,投与経路を分けることが推奨されている。症例は50代,女性。初発の痙攣重積で搬送され複数の抗痙攣薬,鎮静薬を用いても痙攣のコントロールがつかず,難治性てんかん重積状態の診断でICUに入室した。第40病日に左内頸静脈に挿入された中心静脈カテーテルが抜去困難となり,CTで左内頸~左腕頭静脈にかけて高輝度の血管内異物を認めた。その後抜去できたカテーテルには白色固形が付着しており,電子顕微鏡で観察すると結晶成分が確認できた。第90病日に多臓器不全で死亡したのちに行った解剖では,血管内に灰白色の1〜2 cm大の固形物が複数見られた。中心静脈カテーテルの別ルーメンから投与していたチオペンタール(pH 10.2〜11.2)が,カテーテル先端で酸性薬剤のミダゾラム(pH 2.8〜3.8)やロクロニウム(pH 2.8〜3.2)と混和し結晶化した可能性が考えられた。

短報
レター
委員会報告
  • 日本集中治療医学会集中治療看護委員会集中治療看護師活動調査ワーキンググループ
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R1
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/10
    ジャーナル フリー

    【目的】ICU看護師におけるワークエンゲイジメントの実態を明らかにすること。 【方法】2023年2~4月に特定集中治療室管理料または救命救急入院料2,4を算定するICUとその所属看護師に対して,Utrecht Work Engagement Scale 9項目版(UWES-9)とTeamSTEPPS® Teamwork Perceptions Questionnaire(T-TPQ:Agency for Healthcare Research and Quality, 米国)を用いたインターネット上でのアンケート調査を実施した。【結果】21施設の看護師284名から回答を得た。UWES-9合計点の中央値(四分位範囲)は調査時点と2020年1月時点(COVID-19パンデミック前を想起して回答)で16.0(8.0~24.0)点と18.0(9.0~26.8)点であった(P=0.0004)。UWES-9に関連する要因は,男性(β=3.391,95%CI 0.073~6.709; 基準:女性),年齢(β=2.902, 1.175~4.628; 10歳ごとの増加),年次有給休暇取得日数10日以上/年(β=2.86, 0.280~5.441; 基準:10日未満/年),管理者のリーダーシップ(β=-1.928, -3.258~-0.598; T-TPQ5点ごとの増加),月平均夜勤時間72時間超(β=-3.573, -6.7~-0.446; 基準:72時間以下)であった。【結語】ワークエンゲイジメントはCOVID-19パンデミック後に低下した。その向上には夜勤時間短縮や年次有給休暇取得を可能とする看護体制強化,管理者の優れたリーダーシップが関連することが示された。

  • 中村 京太, 飯尾 純一郎, 鹿瀬 陽一, 栗田 健郎, 仙頭 佳起, 武田 聡, 内藤 貴基, 新津 健裕, 森 一直, 森安 恵実, 川 ...
    2025 年32 巻 論文ID: 2400002
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/15
    [早期公開] 公開日: 2024/11/29
    ジャーナル フリー

    Rapid response system(RRS)は病状増悪を早期に察知し,迅速に対応することで,院内心停止などを減少させる医療安全管理システムである。「Rapid Response System運用指針」はRRSの効果的な運用により,病状増悪時の対応を標準化することを目指して作成された。本指針は組織体制とRRSの運用から構成されている。組織体制に関しては,病院管理者が責任者となって運営委員会を設置し,システムの計画・監督・質改善を行うことが推奨される。各施設に最適化された運営マニュアルの作成を推奨し,主治医チームと対応チームが連携することを提案する。一方,RRSの運用面では,システムの維持運営とスタッフ教育を推奨し,起動基準の周知とバイタルサインの適切な測定を推奨する。また,迅速な対応を提案し,起動事例のデータ収集と分析を推奨する。さらに,各事例を検討し,その結果を関連各所にフィードバックすることも提案する。

  • 2021年度日本集中治療医学会機関誌編集・用語委員会, 川前 金幸, 谷口 巧, 川崎 達也, 矢田部 智昭, 德平 夏子, 武居 哲洋, ...
    原稿種別: 委員会報告
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R23
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/23
    ジャーナル フリー
    電子付録

    日本集中治療医学会雑誌(以下,本誌)は日本集中治療医学会の機関誌であり,本誌への投稿・掲載は日本における集中治療にかかわる医療者の登竜門と位置付けられる。今回,より良い査読体制構築のため,全査読者を対象にアンケートにて本誌査読の現状について調査し,493名中280名から回答を得た(回答率56.8%)。自由記載では著者へのヒントとなる回答が多く得られた。査読が評議員の責務であるとの認識は高く,査読を忌避する者は少ないにもかかわらず,査読業務の偏りや時間的制約,および専門性の違いから査読依頼を断っている可能性が明らかになった。これにより,査読者の登録情報の整理や,機関誌編集・用語委員会での査読者選定のあり方を見直す必要性が示唆された。また,多くの査読者は科学性と教育的であることに留意していることが示されたが,その一方で査読者自身も査読方法に関する教材を要望しており,査読教育に関する取り組みの必要性が示された。

  • 日本版敗血症診療ガイドライン2024特別委員会ガイドラインアプリ/ICTチーム, 日本版敗血症診療ガイドライン2024特別委員会
    原稿種別: 委員会報告
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R41
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/13
    ジャーナル フリー

    【緒言】国内外に複数の診療ガイドラインのアプリケーション(アプリ)が存在するが,利用者層を解析した報告はない。日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)2024のアプリの利用者層を分析し,普及のための課題を明らかにするために調査を実施した。【方法】2024年7月23日から12月31日までの期間のアプリ初回起動時の利用者アンケートを用いて解析を行った。【結果】期間内の新規ダウンロード数は7501件,アンケート回答件数は784 件であった。年齢は30代(34%),40代(25%)が,職種は医師(59%),看護師(22%)が,医師の診療科は内科(28%),救急科(23%)が,職業経験年数は10~19年(29%),20年以上(28%)が多かった。J-SSCG2020アプリを「知っていた」は30%,「使っていた」は18%,J-SSCG2024 アプリを知るきっかけはsocial networking service(SNS)が最多(34%)であった。【結語】J-SSCG2024アプリは多くの職種や診療科で利用され,SNSを通じてアプリを知った利用者が多かった。

  • 日本集中治療医学会小児集中治療部設置指針改訂タスクフォース
    原稿種別: 委員会報告
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R45
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/10/23
    ジャーナル フリー
原著
  • 遠藤 英樹, 大邉 寛幸, 岡本 洋史, 橋本 悟
    原稿種別: 原著
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R19
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/09
    ジャーナル フリー

    【目的】日本の成人ICUにおいてhigh-intensity type ICUと院内死亡の関連を検討した。【方法】日本ICU患者データベース(Japanese Intensive Care Patient Database, JIPAD)を用いて,後向きコホート研究を行った。2022年4月から2023年3月までに成人ICUに入室した患者を対象とした。High-intensity type ICUと院内死亡の関連を交絡調整したロジスティック回帰を用いて分析した。【結果】解析集団は,87の成人ICUに入室した65,395例で,退院時死亡は5,862例(9.0%)であった。High-intensity type ICUの施設数は69であった。回帰分析では,high-intensity type ICUの調整オッズ比は,0.96(95% CI 0.88~1.05, P=0.36)であった。術後患者のみのサブグループでのhigh-intensity type ICUの調整オッズ比は0.81(95% CI 0.70~0.95, P=0.008)であった。【結論】日本の成人ICUにおいて,high-intensity type ICUは院内死亡の低下と統計学的に有意な関連を認めなかった。しかし,術後患者においては院内死亡の低下と有意な関連を認めた。

  • 橋場 英二, 遠藤 英樹, 相原 美乃里, 竹川 大貴
    原稿種別: 原著
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R26
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/06
    ジャーナル フリー

    【目的】Japanese Intensive Care Patient Database(JIPAD)を用いて,日本の同一入院中に緊急でICUに再入室した患者の実態と再入室のリスク因子を明らかにする。【方法】2018年4月~2020年3月の期間にJIPADに登録された16歳以上の患者を対象とし,同一入院中の緊急ICU再入室患者を抽出した。検討項目は,ICU再入室率,緊急ICU再入室率,院内およびICU内死亡率,在院日数,複数回ICU再入室患者の有無,合計ICU滞在日数が15日以上の総ICU滞在日数長期率などとした。また,緊急ICU再入室に関係する因子を多重ロジスティック回帰分析で検討した。【結果】57のICUでの入室69,594件中,再入室は3,018件(4.3%)で,緊急ICU再入室は2,001件(2.9%)であった。この2,001件中,2回目のICU入室に限った1,718件を緊急ICU再入室群として検討した。緊急ICU再入室患者は単回入室患者に比べ,院内死亡率は3.8倍(27.2% vs. 7.2%),総ICU滞在日数長期率は9.7倍(31.9% vs. 3.3%),そして,在院日数は中央値で3.1倍(59日 vs. 19日)であった。緊急ICU再入室に関連する因子は,男性,APACHE Ⅲスコア,入室時気管切開の存在,ICU滞在日数,ICUにおける腎代替療法や非侵襲的陽圧換気の使用であった。【結語】同一入院の緊急ICU再入室は,病院内死亡率,総ICU滞在日数長期率が高く,在院日数も長いことが明らかとなった。

  • 和田 翔, 池山 貴也, 川村 昌代, 加藤 美穂子
    原稿種別: 原著
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R31
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/03
    ジャーナル フリー

    【目的】当院PICUで実施した法的脳死判定に準じた評価もしくは法的脳死判定に伴う無呼吸テストの有害事象の頻度などについて報告する。【方法】2016年2月1日から2023年12月31日に当院PICUに入室し,法的脳死判定の前提条件を満たし,法的脳死判定に準じた評価もしくは法的脳死判定を行った症例に対して,患者特性や無呼吸テストの有害事象について,後方視的にカルテ調査を行った。【結果】対象となったのは29例であった。法的脳死判定に準じた評価もしくは法的脳死判定は63回実施され,無呼吸テストは51回(81%)実施された。無呼吸テストに伴う有害事象は51回中11回(22%)に認められた。【結論】当院PICUで実施した無呼吸テストに伴う有害事象は22%で発生し,無呼吸テストの中止は6%に認め既報と同様の結果であった。

  • 五十嵐 竜太, 奥住 元喜, 倉又 あかり, 岡部 敦子, 本田 博之, 西山 慶
    原稿種別: 原著
    2025 年32 巻 論文ID: 32_R39
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/28
    ジャーナル フリー

    【目的】睡眠の質向上のための方法を検討する目的で,日本語版Richards-Campbell睡眠調査票(the Japanese version of the Richards-Campbell Sleep Questionnaire, J-RCSQ)と痛みとの関係性を明らかにする。【方法】20歳以上の患者を対象とした後ろ向き観察研究とした。ICU退室日のデータから,患者因子[J-RCSQ,痛みについてのnumerical rating scale(NRS)等]や看護ケア因子(観察回数,体位変換回数等),環境因子(ICU病床稼働率等)を収集した。J-RCSQ average scoreを中央値で分け,NRSを0とそれ以外で2値化して単変量解析を実施し,主解析として多変量ロジスティック回帰を行った。また,痛みの強度による影響を確認する目的で,NRSを3群(0,痛みなし;1~3,わずかな痛み;≧4,明確な痛み)に分けたモデルでも補足解析を行った。【結果】252名を解析し,主解析では睡眠の質と痛みの有無に関連があった(OR 0.549, 95% CI 0.306~0.973, P=0.042)。補足解析では,わずかな痛み(NRS 1~3)のORは0.677(95% CI 0.342~1.338, P=0.261),明確な痛み(NRS≧4)のORは0.426(95% CI 0.204~0.888, P=0.023)であった。【結語】睡眠の質の悪化は,特に明確な痛みと関連があり,わずかな痛みとの関連も無視できないものであった。睡眠の質向上には痛みを評価し,十分な鎮痛を優先し実施する必要性が示唆された。

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