日本集中治療医学会雑誌
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最新号
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編集委員会より
総説
  • 山下 芳久, 塚本 功
    2019 年 26 巻 6 号 p. 423-429
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    救急・集中治療領域における急性血液浄化療法は,単に急性ならびに慢性腎疾患に対する腎補助だけでなく,炎症性サイトカインや捕体をはじめとする各種メディエータを制御する目的で積極的に導入されている。急性血液浄化技術のなかでも,最も実施頻度が高い持続的血液浄化療法(continuous blood purification, CBP)において血液濾過器(hemofilter)は必須のデバイスであり,いくつかの種類が使用されている。CBPのモダリティ選択ならびに設定条件は,施行される患者の全身状態に対する改善や必要な効率を達成するために重要であり,hemofilterはそのうちの重要なキーポイントの一つであると考えられる。現在市販されているhemofilterはバリエーションが豊富で,長時間使用しても溶質除去性能や抗血栓性に対する専用設計がされていることに加え,膜材質によっても透析性能や濾過性能そして吸着性能が異なるところに特徴が強く示されており,我々はそれらを臨床において効果的に選択し使用するべきである。そこで,本稿では各hemofilterの膜素材の特徴として,透析性能,濾過性能,吸着性能,そしてlife-timeについてこれまでの知見を踏まえて整理し,急性血液浄化技術と今後の可能性を言及する。

原著
  • 星野 耕大, 丸山 隼一, 鯉江 めぐみ, 入江 悠平, 川野 恭雅, 喜多村 泰輔, 石倉 宏恭
    2019 年 26 巻 6 号 p. 431-437
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    【はじめに】下部消化管穿孔は敗血症を引き起こす代表的な疾患である。今回,高齢者の下部消化管穿孔における凝固障害について検討した。【方法】2011年4月〜2017年3月までに下部消化管穿孔の,術後当センターICUに入室した症例を対象とした。対象患者を75歳以上の高齢者群と75歳未満の非高齢者群の2群に分類し,凝固線溶系マーカー,急性期DICスコア,SOFAスコアをICU入室日のday 0からday 2まで,両群間で比較した。また,28日生存率を調べた。【結果】対象症例は46例(高齢者群23例,非高齢者群23例)であった。急性期DICスコアはday 0とday 1で高齢者群が非高齢者群より有意に高値であった(共にP<0.01)。さらに,SOFAスコアはday 1において高齢者群が有意に高値であった(P<0.05)。高齢者の28日生存率は両群間において有意差を認めなかった[65%(15/23)vs. 83%(19/23), P=0.18; log-rank test, P=0.17]。【結語】高齢者の下部消化管穿孔例は術後早期から凝固異常を合併しやすい。

  • 西村 文宏, 牛島 智子, 三嶋 あかね, 杉野 由起子, 柳 茂樹, 宮村 重幸, 鬼木 健太郎, 猿渡 淳二
    2019 年 26 巻 6 号 p. 438-444
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    【目的】心臓血管外科手術患者における術後せん妄発症のリスク因子を抽出し,せん妄チェックシートを作成する。【方法】心臓血管外科手術を施行した患者267例を対象に,せん妄のリスク因子をロジスティック回帰分析により抽出し,術前に確認可能な因子をもとにせん妄チェックシートを作成した。さらに,2017年度の心臓血管外科で手術を施行した患者131例に本チェックシートを適用し,検証した。【結果】緊急手術,ICU入室期間の延長,高齢,ヒドロキシジンの単剤投与が有意なリスク因子であった。ヒドロキシジン未使用患者を対象としたサブ解析では多剤併用,低体重がリスク因子であった。せん妄を発症した患者の2例に1例はせん妄チェックシートでせん妄高リスクに該当し,本チェックシートの有用性が示唆された。【結論】本研究で作成したせん妄チェックシートを用いることで,術前にせん妄高リスク患者を効率的に把握できることが示唆された。

症例報告
  • 粒良 昌弘, 川崎 達也, 新居 正基, 松田 卓也, 北村 宏之, 冨田 健太朗, 佐藤 光則, 大崎 真樹
    2019 年 26 巻 6 号 p. 445-448
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    【はじめに】成人において冠動脈疾患は心停止の原因として最も多いが,小児においても心停止の原因となり得る。本検討では当院において経験した先天性冠動脈異常に起因する小児院外心停止例の報告を目的とした。2007年4月〜2017年3月の10年間に当院で加療した小児院外心停止例のうち,先天性冠動脈異常が原因として確定された症例を対象とし,診療録を後方視的に検討した。【症例】10年間で74例の小児院外心停止例があり,うち3例が先天性冠動脈異常に起因する心停止であった。先天性冠動脈疾患の診断は,左冠動脈肺動脈起始,右冠動脈左冠動脈洞起始,左冠動脈右冠動脈洞起始が各1例であり,3例全てが運動もしくは啼泣を契機とした心停止であった。学校での心停止で迅速に蘇生された1例は後遺症なく救命できたが,乳幼児の1例は死亡し,1例は重篤な低酸素脳症を来した。また3例は全て経胸壁心エコー図検査で診断された。【結語】小児における心原性心停止の原因検索にあたって,先天性冠動脈疾患の存在に留意する。

短報
委員会報告
  • 日本集中治療医学会PICS対策・生活の質改善検討委員会
    2019 年 26 巻 6 号 p. 467-475
    発行日: 2019/11/01
    公開日: 2019/11/01
    ジャーナル フリー

    PICS対策・生活の質改善検討委員会(Ad Hoc)は,本邦の診療現場におけるpost-intensive care syndrome (PICS)の実態を把握するために,日本集中治療医学会会員を対象とし,診療現場におけるPICSの実態調査を実施した。453名から回答を得た。PICSやABCDEFバンドルの認識度は約6割であった。実践しているPICS介入では,早期リハビリテーションが92%であった。しかしながら,ICU患者の退室時あるいは退院時の身体・認知・精神機能障害,QOLの評価は約1割程度にとどまっていた。また現時点では,PICS外来やPICSラウンドを全ての患者で行っていると回答した割合は1%未満であった。ICU患者の長期予後を改善するために,今後はさらなるPICSの認知・実態評価・予防・治療・フォローアップ・啓発活動を,システマティックに実臨床で展開していくことが重要と考えられる。

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