抄録
Photodynamic diagnosis (PDD)は泌尿器科領域では膀胱上皮内癌などの平坦病変を中心とした新しい診断法として発展してきた.筋層非浸潤性膀胱癌においてはメタアナリシス解析により,診断率の向上とそれに伴う残存腫瘍の減少による非再発率の向上が明らかとなった.これは,従来指摘されていた(腫瘍見落としによる)再発率の施設間格差を減少させ,膀胱がん治療の均てん化に寄与することが期待される.また他の泌尿器科腫瘍においても5-ALA経口投与による腎細胞がんや前立腺癌における術中外科的断端陽性の判定などに利用されるようになってきた.本総説では最近の筋層非浸潤性膀胱癌に対するPDDを用いた診断とPDD補助下経尿道的膀胱腫瘍切除術の治療成績について論文を紹介するとともに膀胱癌以外の泌尿器科腫瘍へのPDD応用の実例を紹介する.