日本レーザー医学会誌
Online ISSN : 1881-1639
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一般
原著
  • 竹内 伸行, 松本 昌尚, 樋口 大輔, 千木良 佑介, 高橋 大志
    原稿種別: 原著
    2025 年 46 巻 1 号 p. 2-11
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2025/04/05
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    健常成人10人を対象に,出力180 mWのレーザー照射によるphotobiomodulation(PBM)が圧痛閾値(pressure pain threshold: PPT)と時間的加重(temporal summation of pain: TSP)におよぼす即時的効果を検討した.本研究では介入Aと介入Bを設定し,対象はランダムに介入順序AB(n = 5)またはBA(n = 5)のいずれかに割付けた.レーザー群(介入A)ではレーザー照射(出力180 mW, 照射面積0.35 mm2,出力密度510 mW/mm2,照射エネルギー54 J,エネルギー密度150 J/mm2)を行い,対照群(介入B)ではsham照射を行った.評価指標は,照射前後のPPTとTSPとした.TSPは,TSP magnitude(TSPm)を算出して分析に用いた.結果,PPTとTSPmの照射前ベースライン値では,両群間で有意な違いを認めなかった.レーザー群では,照射後のPPTが照射前に比して有意に高値を認めた(p < 0.001, r = 0.89).対照群では,照射前後で有意な違いは認めなかった(p = 0.864, r = 0.06).また,レーザー群では,TSPmが照射前と比較して照射後に有意な低値を認めた(p = 0.037, r = 0.63).一方,対照群では照射前後で有意な違いを認めなかった(p = 0.399, r = 0.28).これらの結果から,出力180 mWのレーザー照射により,PPT上昇とTSP抑制の効果が期待できると示唆された.

レーザー/LEDを用いた歯科の審美治療
総説
  • 永井 茂之
    原稿種別: 総説
    2025 年 46 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2025/04/05
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    レーザーを使用した歯科の審美治療は,レーザーの普及と共に一般にもよく知られるようになってきた.メラニン着色除去等,さまざまな処置にレーザーが使用されている.メラニン着色除去には認可を得ている全ての波長が使用されているが,波長の違いと共にピークパワーや発振形態が異なる為,個々のレーザー機器によってパラメーターや術式が異なることに注意が必要である.また,審美治療を行うにあたり,患者の要望を十分に聞き出すことが肝要である.

  • 水谷 幸嗣, 三上 理沙子, 青木 章
    原稿種別: 総説
    2025 年 46 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2025/04/03
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    Er:YAGレーザーの発振波長2,940 nmは水への吸収性が非常に高く,軟組織,硬組織ともに効率良く蒸散できる.歯肉への切開においてEr:YAGレーザーは,他のレーザー波長と比べて周囲組織への熱の影響も注水・非注水下ともに極めて少ないことが報告されている.これは,歯科臨床において歯肉切除術,小帯切除術,また歯肉色素沈着除去やメタルタトゥー除去などに効率的に用いられ,創傷治癒が良好で,また疼痛が少ないことと一致している.現在,歯科臨床において使用されているEr:YAGレーザーの特徴として,様々な部位にアプローチできる細いコンタクトチップが応用されていることが挙げられる.チップ先端と同軸の注水が正確になされ,硬組織と軟組織の両者に繊細な処置が可能である.この特徴は,手術用顕微鏡との治療に非常に相性が良い.処置部位を限局的にし,正確に組織蒸散を熱傷害なく実現できるこの組み合わせは,近年のMinimally invasive(MI)のコンセプトに合致する診療アプローチと考えられる.このコンビネーションの最適な例として,歯肉の審美障害であるメラニン色素およびメタルタトゥーの除去が挙げられる.メラニン色素除去においては,歯肉着色の原因となっているメラノサイトを含んだ上皮層を取り除き,新しい上皮が形成されることで改善される.そのため,最小侵襲で色調改善を図る際には,顕微鏡での拡大視野下でレーザーの繊細な組織蒸散を表層の上皮とメラノサイトが凝集しやすい上皮脚部分に選択的に行うことが望ましい.それにより,結合組織中の毛細血管や神経が損傷をせず,出血が少なく術後疼痛の少ない処置にできる.また,メタルタトゥー除去では,結合組織に埋入した金属切削片を,Er:YAGレーザーのコンタクトチップを用いた注水下での組織蒸散により,正確かつ低侵襲に除去でき,痛みが少なく,再発しにくい治療が可能となり,患者の満足度が高い臨床成績が得られている.本稿では近年に発表した最小侵襲の新しい術式であるEr:YAG laser micro-keyhole surgery(EL-MIKS)による広範囲のメタルタトゥー除去について概説をする.

  • 大槻 昌幸, 亀山 敦史, 島田 康史, 田上 順次
    原稿種別: 総説
    2025 年 46 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2025/04/04
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    歯のホワイトニングは,歯質保存的で費用対効果の高い審美的な歯科治療で,その普及は目覚ましいものがある.わが国のオフィスホワイトニング材は,すべて光照射を必要としている.レーザー光の歯のホワイトニングへの応用に関する研究はなされているが,わが国では実用化には至っていない.ここでは,ホワイトニング治療の種類と特徴,および,術式に加えて,歯の変色・着色の原因,ホワイトニングのメカニズム,適用と禁忌などについて述べる.

症例報告
  • 津久井 明
    原稿種別: 症例報告
    2025 年 46 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    [早期公開] 公開日: 2025/04/05
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    根面被覆の主な適応症は審美的,美容的要求,そして知覚過敏などである.またプラークコントロールを容易にするために辺縁軟組織の形態を変えることも根面被覆の一般的な適応症の一つである.歯肉退縮の治療法に用いられる根面被覆の方法には有茎弁歯肉移植と遊離歯肉移植がある.いずれの方法においても露出した根面から汚染物質を取り除く必要があり,そのために化学的材料(EDTA,リン酸,テトラサイクリン,など)が用いられる.Er:YAGレーザーは化学的材料を必要とせず根面の汚染物質を取り除くことができる.またこのレーザーは軟組織,硬組織の切開や蒸散においても使用することができる.本稿ではEr:YAGレーザーを応用した根面被覆法,半月弁切開移動術と上皮下結合組織移植について解説する.

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