日本レーザー医学会誌
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第46回 日本レーザー医学会総会賞受賞論文
総説
  • 下条 裕, 西村 隆宏, 鶴田 大輔, 小澤 俊幸, 河野 太郎
    原稿種別: 第46回 日本レーザー医学会総会賞受賞論文
    2026 年47 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/04/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/28
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    レーザー治療の有効性および安全性は照射条件の設定に大きく依存するが,従来のメタ解析では照射条件の妥当性が十分に考慮されてこなかった.その結果,理論的に適正な条件で実施された研究と過剰または不十分な条件で実施された研究が同列に扱われ,照射条件に起因するバイアスが解析結果に混入するという方法論的課題が存在していた.本稿では,レーザー生体相互作用の理論に基づくインシリコ解析を臨床エビデンス統合に応用した新しい評価枠組みとして,インシリコ支援メタ解析の概念と意義を概説する.さらに,太田母斑治療を例に,照射条件の妥当性を考慮して臨床成績を解釈するアプローチを紹介する.インシリコ支援メタ解析は,従来のアウトカム中心のメタ解析の限界を補完し,照射条件に起因するバイアスを制御しながら臨床エビデンスを統合する新たな方法論として位置づけられる.本手法は,レーザー治療における評価精度の向上のみならず,経験的に設定されてきた照射条件を科学的根拠に基づく設計へと転換する可能性を有しており,今後のエネルギーデバイス治療の発展に重要な役割を果たすことが期待される.

渥美和彦賞受賞
次世代のPDD,PDTに向けた基礎研究
総説
原著
  • 井畑 知大, 野々口 直助, 古瀬 元雅, 中村 修二, 鰐渕 昌彦
    原稿種別: 原著
    2026 年47 巻1 号 p. 47-52
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/04/15
    [早期公開] 公開日: 2026/04/07
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    Metronomic photodynamic therapy(metronomic PDT)は,レーザー光のような高い光量の光照射によりポルフィリン構造が破壊される光減衰現象(photobleaching)を生じずに何度も基底状態と励起状態を繰り返すことが可能であり,連日あるいは長時間治療を行うことで従来のレーザーを用いた光線力学療法より一重項酸素や活性酸素種の累積発生量が上回るとされている.Metronomic PDTを臨床的に実現するためには,人体に埋め込まれる光照射装置の開発が必要である.無線給電にて身体の外から充電可能となれば将来的には外来診療もしくは自宅でmetronomic PDTが実施可能となる画期的な低侵襲治療となり得る.光線力学療法用埋込型光照射装置開発の現状を報告する.

  • 鈴木 恒平, 藤 圭太, 宮岡 亮, 山本 淳考
    原稿種別: 原著
    2026 年47 巻1 号 p. 53-62
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/04/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/31
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    本研究では,悪性リンパ腫細胞株(Raji, HKBML, TK)を用いて,通常酸素および5% O2低酸素環境下における5-アミノレブリン酸(aminolevulinic acid: ALA)誘導プロトポルフィリンIX(protoporphyrin IX: PpIX)の蓄積と5-ALA放射線力学療法(radiodynamic therapy: RDT)の効果を検討した.いずれの細胞株でも5-ALA処理によりPpIXが細胞質に集積し,5-ALA/RDTは酸素条件に関わらず生存率を低下させた.放射線照射後には遅発性ROS産生の増強がみられ,特にミトコンドリア密度の高いRaji細胞株で顕著であった.この結果から,5-ALA/RDTではPpIX蓄積とそれに続くROS産生およびその伝播は重要な役割を果たしていることが示唆される.5-ALA/RDTは,低酸素環境下での放射線抵抗性を克服する可能性があり,中枢神経系原発悪性リンパ腫に対する新規治療戦略となり得る.

PDD・PDTの臨床とその検証
原著
  • 郡山 峻一
    原稿種別: 原著
    2026 年47 巻1 号 p. 64-71
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/04/15
    [早期公開] 公開日: 2026/04/01
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    膠芽腫は局所再発が主体で,最大限摘出と術中局所治療の強化が重要である.初発膠芽腫329例を後方視的に解析し,拡大摘出(supramaximal resection: SMR)と光線力学的療法(photodynamic therapy: PDT)を評価した.多変量Cox解析でSMRはPRに比べ全生存期間(overall survival: OS)・progression-free survival(PFS)良好と関連した一方,PDTは独立した関連を示さなかった.SMR達成例ではPDT併用群でOSおよびPFSがより良好な傾向を示したが有意差に至らなかった.今後さらなる症例の蓄積と前向きな検証が必要ではあるが,SMRにPDTを組み合わせる術中戦略は,局所制御のさらなる向上に寄与することが期待される.

  • 塚本 佳広, 渡邉 潤, 棗田 学, 大石 誠
    原稿種別: 原著
    2026 年47 巻1 号 p. 72-78
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/04/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/25
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    当科では2018年7月にtalaporfin sodium(TPS)による術中光線力学的療法(photodynamic therapy; PDT)を導入し2024年10月までに初発膠芽腫25例(Glioblastoma,IDH-wildtype 24例,Astrocytoma,IDH-mutant CNS WHO Grade 4 1例)にPDTを施行した.PDT施行症例の無増悪生存期間(progression free survival: PFS),全生存期間(overall survival: OS)を後方視的に解析し,予後因子の検討と共に臨床的特徴についても検証した,多変量解析では摘出率がOSにおける最も強力な予後因子であり,Non- gross total resection(GTR)(subtotal resection, partial resection)群18ヶ月,GTR群は未到達であり有意に予後の延長を認めた(p = 0.009).造影病変の摘出により深部の腫瘍細胞までレーザー光が減衰せず到達することが一因と考えられた.一方,TPSは術中光線力学的診断(photodynamic diagnosis: PDD)も有用とされているが,TPSによるPDDの機能的摘出限界としての安全性は未確立である.Eloquent領域の切除には運動機能モニタリングや解剖学的な指標が必要であると考えられた.

  • 山西 俊介, 長嶋 宏明, 田中 一寛, 池内 佑介, 藤本 陽介, 篠山 隆司
    原稿種別: 原著
    2026 年47 巻1 号 p. 79-84
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/04/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/20
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    IDH野生型膠芽腫100例を対象に,術中光線力学療法(photodynamic therapy: PDT)の有効性と安全性を後方視的に検討した.PDT群は局所再発率が有意に低く,無増悪生存期間および全生存期間も有意に延長していた.一方で遠隔・播種性再発の割合は相対的に高かった.有害事象は少数で重篤例も保存的治療で改善し,安全に施行可能であった.特に肉眼的全摘出かつMGMT非メチル化症例において有意な生存期間延長を認め,PDTは同群の局所制御および予後改善に寄与する可能性が示唆された.

脳腫瘍手術における術中可視化技術の最前線
原著
  • 樋口 直司, 阿部 信祐, 今岡 冴月, 青木 大征, 築山 敦, 田原 重志, 村井 保夫
    原稿種別: 原著
    2026 年47 巻1 号 p. 86-92
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/04/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/31
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    当施設で外視鏡導入後の髄内腫瘍30例(神経膠腫10例,転移性脳腫瘍17例,脳悪性リンパ腫3例)で5ALA・NBI・ICGの有用性を術者の目視で定性評価した.5ALAは悪性神経膠腫で強い蛍光を示し顕微鏡と同等,ICGは血流評価に有用.NBIはあまり有用性が得られなかったが,低悪性度神経膠腫の脳表観察において,正常脳実質との境界を診断するのに有用となる可能性が示唆された.転移性脳腫瘍において,白色光に比べNBIは腫瘍本体と周囲白質との識別に有用である可能性が示唆された.なお易出血性腫瘍ではNBIは出血により黒色となってしまい,識別は非常に困難であった.しかしながら脳腫瘍摘出術における新たな蛍光診断の方法として,NBIは新規の蛍光診断の方法になりうる可能性を秘めている.

総説
原著
  • 齊藤 邦昭, 佐々木 重嘉, 小林 啓一, 永根 基雄, 田中 洋次
    原稿種別: 原著
    2026 年47 巻1 号 p. 97-103
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/04/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/25
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    高悪性度神経膠腫に対する5-アミノレブリン酸(5-ALA)蛍光診断は,摘出率の向上と無増悪生存期間の延長に寄与することが知られている.本研究では,外視鏡を用いた5-ALA術中蛍光診断の有用性を検討した.対象は,2020年7月から2024年6月に外視鏡下で5-ALA蛍光診断を併用して手術を行ったグリオーマ115例(膠芽腫74例,その他41例)である.蛍光はすべての造影病変で確認され,摘出を目標とした膠芽腫における摘出率は97.7 ± 5.4%と高値を示した.また,膠芽腫における虚血性合併症の発生率は12.2%と比較的低頻度であった.さらに,拡張現実を用いた蛍光融合画像や画像鮮明化装置により,腫瘍境界および周囲構造の視認性は一層向上した.以上より,外視鏡を用いた5-ALA蛍光診断は高精細な蛍光観察を可能とし,maximal safe resectionを目指す上で有用と考えられる.

  • 井上 明宏
    原稿種別: 原著
    2026 年47 巻1 号 p. 104-110
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/04/15
    [早期公開] 公開日: 2025/11/01
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    我々は膠芽腫辺縁部の浸潤細胞を把握する方法として,11C-Methionine(Met)-positron emission tomography(PET)を用いたMet集積率の評価やmagnetic resonance spectroscopy(MRS)を用いた代謝解析の有用性を報告してきた.更に最近では一般的な5-アミノレブリン酸による光線力学診断(5-aminolevulinic acid photodynamic diagnosis: 5-ALA-PDD)に加え,紫色レーザー光を用いたSpectroscopyにより摘出腔辺縁部の蛍光強度を定量評価することで,術中リアルタイムに浸潤範囲を同定する作業を行っている.我々は摘出術に際して切除範囲の指標を3つ設けており,11C-Met-PETにおけるTNRが1.4以上の部位まで,MRSにおけるLactate/Creatin比が0.66以上の部位まで,術中の5-ALA-PDD定量評価における蛍光強度が1,000 a.u.以上の部位までとしているが,本稿では,従来の手術支援機器による腫瘍摘出術の長所と短所を述べると共に,現在,我々の施設で進めている「5-ALA-PDDを利用した腫瘍浸潤部を見極めるための取り組み」を紹介したい.

  • 三宅 啓介, 鈴木 健太, 藤森 健司, 小川 大輔, 畠山 哲宗, 岡内 正信, 川西 正彦
    原稿種別: 原著
    2026 年47 巻1 号 p. 111-122
    発行日: 2026/04/15
    公開日: 2026/04/15
    [早期公開] 公開日: 2026/03/20
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    電子付録

    膠芽腫26例を対象に,MRI,18F-THK5351 PET,および5-aminolevulinic acid(ALA)蛍光を併用して腫瘍切除範囲を多角的に評価した.造影MRIで全摘と判定された症例においても,18F-THK5351 positron emission tomography(PET)では集積の残存を認めた.さらに,18F-THK5351 PET残存量が5 mL未満の群では,無増悪生存期間が有意に延長した.また,5-ALA陰性であってもPET集積を示す領域が存在し,両者を併用することで腫瘍浸潤をより詳細に評価できる可能性が示された.18F-THK5351 PETは,膠芽腫の浸潤に加えて周囲の反応性アストロサイトなどの反応性変化を可視化し,新たな摘出指標ならびに予後予測因子として有用である可能性が示唆された.

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