日本レーザー医学会誌
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追悼文
第43回 日本レーザー医学会総会賞受賞論文
総説
  • 石橋 直也, 歌 大介
    原稿種別: 第43回 日本レーザー医学会総会賞受賞論文
    2024 年 44 巻 4 号 p. 350-359
    発行日: 2024/01/15
    公開日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/12/14
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    低出力レーザ治療(low-level laser therapy: LLLT)は,筋肉・関節の慢性非感染性炎症による疼痛の緩和に使用されている.しかし,作用機序の統一的な見解は存在しない.鎮痛作用機序を研究する上で,脊髄後角は痛覚情報が密に伝達される重要な部位であるが,LLLTの効果を脊髄後角で検証した報告はほとんどない.本研究では,坐骨神経へのレーザ照射が皮膚への機械刺激により誘発される脊髄後角表層ニューロンの発火に与える影響を,in vivo細胞外記録法により検証した.単一ニューロンの発火を記録するために,ラット脊髄後角表層に電極を刺入した.レーザ照射の前後で,0.6 gから26.0 gの種々のvon Frey filament(vFF)を用いて坐骨神経が支配する皮膚受容野に機械刺激を加え,脊髄後角表層ニューロンにおけるvFF誘発発火を記録・解析した.レーザ照射方法として,皮膚を切開し露出させた坐骨神経に直接照射する場合と,皮膚を切開せず坐骨神経に経皮的に照射する場合を検証した.その結果,坐骨神経に直接レーザ照射した場合,照射前に対し照射後の26.0 gの vFF誘発発火頻度が有意に抑制され,その効果は3時間持続した.照射15分後の比較では,26.0 gに加えて15.0 gのvFF誘発発火頻度が選択的に抑制された.尚,偽照射では発火頻度は変化しなかった.経皮的にレーザ照射した場合も同様の傾向が確認され,照射前と照射15分後の発火頻度の比は直接照射と経皮的照射で同等だった.フォトダイオードセンサを坐骨神経近傍に埋め込み経皮的にレーザ照射したところ,坐骨神経に到達するパワー密度は照射条件の約10%に減衰していた.病理組織学的評価では,直接レーザ照射による坐骨神経の損傷は認められなかった.15.0,26.0 gのvFFは侵害性(痛覚)刺激に相当すると考えられるため,レーザ照射は痛覚刺激により誘発された発火を選択的に抑制したことを示しており,主に痛覚情報を伝達するAδ及びC線維の両方もしくはいずれかの神経活動を抑制したと考えられる.LLLTは現在保険適用がある炎症による疼痛に加え,Aδ線維及びC線維が病態生理メカニズムに関わる疾患に適応できる可能性がある.

一般
症例報告
  • 川本 友子, 静川 寛子, 鼻岡 佳子
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 44 巻 4 号 p. 360-363
    発行日: 2024/01/15
    公開日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/12/20
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    口唇のフォアダイス状態を主訴に受診した3症例に対し,炭酸ガスレーザー(CO2RE®シネロン・キャンデラ社)を用いて治療を行った.組織学的検討を踏まえ,病変の解剖学的位置を考慮した照射を行った.1例は術後一部に再発を認めたが,2例は現在に至るまで再発なく,いずれも瘢痕形成はなかった.フォアダイス状態は正常な独立脂腺の集簇であり病的意義がないが,顔面においては整容面から治療を希望する場合も多い.本疾患は真皮の比較的浅い部位に存在し,好発部位である粘膜は創傷治癒が非常に早いため炭酸ガスレーザーにより低侵襲かつ短期間での治療が可能である.

PDD(光線力学診断)の現状と将来展望(最新治療)
原著
総説
  • 吉田 崇, 木下 秀文
    原稿種別: 総説
    2024 年 44 巻 4 号 p. 373-378
    発行日: 2024/01/15
    公開日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/15
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    欧米を中心に尿路内視鏡手術が積極的に選択されつつある.EAUやNCCNガイドラインでは,両側腫瘍を持つ症例や,単腎または高度腎機能低下を来した症例に加え,対側が健腎であってもLow-riskの腫瘍(low grade腫瘍,1.5~2 cm以下,単発など)を持つ症例に対して尿路内視鏡手術を推奨している.しかし,術後の2年再発率は非常に高く,救済腎尿管全摘除術への移行率も高いこと,さらにはロボット手術や腹腔鏡手術と異なりレーザー機器や尿管鏡の技術的な特殊性のため術式が標準化されていないことから,国内外において多数の経験を持つ限定された施設でしか同手術は行われていない.本解説では,尿路内視鏡治療の現状の問題点と,それらを克服するために我々が取り組んでいる光線力学ナビゲーションを用いた尿路内視鏡治療を紹介する.

  • 井上 貴昭
    原稿種別: 総説
    2024 年 44 巻 4 号 p. 379-385
    発行日: 2024/01/15
    公開日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/02
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    近年の上部尿路結石治療におけるレーザー技術の進歩と軟性腎盂尿管鏡の開発は劇的なスピードで進んでいる.ホルミウム・ヤグレーザー(Holmium:yttrium-aluminum-garnet(Ho:YAG)laser)による砕石術はすでにゴールドスタンダードである.さらに近年では,Ho:YAGレーザーにpulse modulation機能を搭載したレーザー機器も開発され治療効率の改善に貢献している.開発され治療効率の改善に貢献している.またあらたにHo:YAGレーザーとは異なる波長をもつツリウムファイバーレーザーも登場し,すでに臨床で使用されている.これらのnew technologyが今後,尿路結石治療の方向性を変えていくことに間違いはないであろう.

原著
  • 稲元 輝生, 辻野 拓也, 小村 和正, 前之園 良一, 東 治人
    原稿種別: 原著
    2024 年 44 巻 4 号 p. 386-390
    発行日: 2024/01/15
    公開日: 2024/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/09/22
    ジャーナル フリー HTML

    上部尿路上皮がん(upper urothelial carcinoma: UTUC)に対する温存療法は1 cm未満の小さい孤立性の低グレードかつ低リスクのUTUCなら腎盂尿管鏡(ureteropyeloscope: URS)にレーザーアブレーションを併用した低侵襲治療で腎温存療法の成績が比較的良好であることが最近報告されている.加えてURSの利点として,治療前に病理組織診断が可能であることが挙げられる.我々の施設では低リスクの腫瘍に限らず臓器温存としてlaser resection with vaporization(LRV)に取り組んでいる.我々はLRVを施行した37症例(男性30例・女性7例)患者の生検病理と再発との関連を調査した.lymphovascular invasion(LVI)に関しては陰性が35症例(94.6%)と最も多かった.生検病理で判定が可能であったグレード・浸潤様式・LVI・同時に存在するcarcinoma in situ(CIS)病変・生検pTステージを多変量解析で検討したところINFとLVIが独立した再発予測因子となることが判明した.症例数が限られるためさらなる検討が必要であるが生検病理でのLVI陽性あるいは浸潤性の発育様式と判明した症例には厳重なフォローが必要となることが示唆された.

総説
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