サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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サルコイドーシス診断後10年間の経過を経て心病変が出現した1例
土田 哲人長谷川 徹坂本 淳南場 雅章遠藤 利昭四十坊 典晴平賀 洋明安藤 利昭飯村 攻
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2008 年 28 巻 1 号 p. 81-85

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抄録

今回, サルコイドーシス診断後10年の経過を経たのち心病変 (心臓サルコイドーシス) が出現した1例を経験した. 症例は54歳女性. 44歳時にサルコイドーシス (肺, 眼病変) と確定診断された. 毎年, 定期的施行した心電図, 心エコー図では異常を認めなかった. 今回, 心電図上わずかな軸変位とともに, 心エコー図上左室心尖部の壁運動低下 (心室瘤) を初めて認めた. 心筋生検上, 壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫と炎症細胞浸潤を認めた. 67GaシンチグラムおよびFDG-PETにても陽性像を認め, 活動性・進行性の心臓サルコイドーシスと診断, ステロイド治療を開始した. 本例の経験から, サルコイドーシス診断から10年間という長期経過後も未治療の状態では, 心尖部心室瘤の形で新病変となる場合があるので, 長期的観察が必要なこと, およびその検出においては心電図のみでは不十分であり心エコー図が有用であると考えられた.

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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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