木材学会誌
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総説
木本性植物の組織培養によるタンニン生産と生合成
谷口 抄子波多野 力矢崎 一史
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2006 年 52 巻 2 号 p. 67-76

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抄録

この総説では,木本性植物を中心に各種タンニン類の組織培養による生産について紹介する。タンニンは植物界に広く分布するポリフェノールであり,タンニンを多く含む薬用植物が伝統医療で利用されおり,最近は抗ウイルス作用,抗腫瘍作用など種々の薬理活性が明らかとなってきた。植物組織培養を利用した効率的生産によって,それらタンニンのさらなる生物活性の研究の進展や新薬候補の開拓が期待されてきており,縮合型タンニンならびに加水分解性タンニン生産培養株を確立した。加水分解性タンニン生産植物から確立した培養株は,未分化な組織の共通の成分としてgalloylglucose類を生産した。分化に伴いエラジタンニン生産能が増加する事から,これらのgalloylglucose類がエラジタンニンの前駆体であることが支持された。培地中の窒素濃度や窒素源の組成,光照射などによりこれらタンニン類の生産を制御できた。

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© 2006 一般社団法人 日本木材学会
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