木材学会誌
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カテゴリーI
  • 国産材利用および国内加工に着目した経済波及効果の比較分析
    河村 奏瑛, 渡邊 哲, 森井 拓哉, 井上 雅文
    2021 年 67 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/01/30
    ジャーナル フリー

    実在する鉄筋コンクリート造の建築 (RC造) と同等の規模と機能で設計した木造建築 (木造) の建築費用を最終需要として,産業連関分析により経済波及効果を算出,比較した。最終需要額はRC造で116.0百万円,木造で110.7百万円となり,木造が建築費用の点で優位であった。経済成長の効率性である粗付加価値誘発倍率は,RC造で0.783,木造で0.722となり,RC造が優位であった。ここで,木材の国産材率を100%にすることによって,粗付加価値誘発倍率は0.792となり,国産材利用の有効性が認められた。また,輸入材の国内加工について検討を行ったところ,合板・集成材部門において,国産材利用に匹敵する経済波及効果が認められた。集成材の使用部位では,梁桁など,強度の観点から国産材に置き換えることが困難である部材も想定されるため,経済成長の観点からは,国内加工を促進することの有効性が示唆された。

  • 産業連関法によるLCAと環境効率指標
    森井 拓哉, 河村 奏瑛, 渡邊 哲, 井上 雅文
    2021 年 67 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/01/30
    ジャーナル フリー

    建築における木材利用の優位性を環境と経済の両側面から検証するため,温室効果ガス排出量および経済波及効果を産業連関法によって推計し,環境効率指標に基づく考察を行った。鉄筋コンクリート造建築の粗付加価値誘発額は133.2百万円,温室効果ガス排出量は1039.2t-CO2eqとなり,同等の規模と機能を有する木造建築のそれらは,輸入材を使用した場合で97.2百万円,487.7t-CO2eq,国産材を使用した場合で122.0百万円,540.5t-CO2eqとなった。これらの比である環境効率指標は,鉄筋コンクリート造建築で0.128百万円/t-CO2eq,輸入材を用いた木造建築で0.199百万円/t-CO2eq,国産材を使用した木造建築で0.226百万円/t-CO2eqとなった。鉄筋コンクリート造建築に対して木造建築が優位であり,国産材利用を促進することでさらに環境効率が高まることが示された。

カテゴリーII
  • 積上法LCAによるGHG排出量の比較
    一宮 孝至, 大住 政寛, 小林 靖尚, 長坂 健司, 井上 雅文
    2021 年 67 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/01/30
    ジャーナル フリー

    特別養護老人ホームとして使用される延床面積1977.75m2の鉄筋コンクリート造建築,および,同等の規模と機能で設計した木造建築について,材料製造,輸送,建設,解体における温室効果ガス (GHG) 排出量をライフサイクルアセスメントによって算出した。GHG排出量は, 木造建築で592.3 t-CO2eq,鉄筋コンクリート造建築で1155.6 t-CO2eqとなり,木造建築の優位性が示された。木造建築において準耐火構造を耐火構造に変更するとGHG排出量は6.5%増加し,基礎構造を杭基礎に変更するとGHG排出量は8.4%増加するが,木造建築の優位性はそれらの変更後も保たれた。重量カバー率とGHG排出量の関係を検討したところ,軽量な部材であっても原単位の大きな部材の影響が大きいことが確認された。

  • 田鶴 寿弥子, 杉山 淳司
    2021 年 67 巻 1 号 p. 20-32
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/01/30
    ジャーナル フリー

    近年,茶室における樹種識別調査と用材観解明の重要性が周知されてきている。本研究では,裏千家を代表する茶室でもある京都府京都市に位置する重要文化財裏千家住宅保存修理工事において,63試料について光学顕微鏡および放射光X線µCTによる樹種識別調査を行った。その結果16種類もの木材が使用されていたことが判明した。中でも,咄々斎では,床柱や床框に珍しいマタタビ属(Actinidia)が使用されていることも判明するなど,当時の裏千家における茶室建築における木材利用,ならびに用材観の解明にむけて知見を拡充できた。

  • 折橋 健, 安久津 久, 丹羽 忍, 大塚 英幸
    2021 年 67 巻 1 号 p. 33-43
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/01/30
    ジャーナル フリー

    小~中型 (200~1200kW) の木質専焼ボイラーで,塗料や防腐剤等を含まないクリーンなチップや薪を燃焼させた場合に発生する灰 (12試料) について諸性状を調査した。灰は,粗砂~シルトに相当する細かな粉体であり,強いアルカリであった。主要な無機成分の含有割合は,CaOが最も高く,次いでK2O,これにMgOやSiO2が続き,さらにAl2O3,P2O5,MnO,Fe2O3が続く傾向が認められた。相関分析より,燃料中の樹皮比率や土壌の混入程度が,灰の組成や性状に大きく影響することが示唆された。試料における無機微量元素の溶出量や含有量について,土壌環境保全や資源の循環利用に関する指標と比較した。以上の結果を踏まえ,小規模で分散発生する燃焼灰の利用について考察を行った。

カテゴリーIII
  • 村田 功二, 富田 夏生, 仲村 匡司, 秋津 裕志, 大崎 久司, 浦上 晃, 池田 真一
    2021 年 67 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/01/30
    ジャーナル フリー

    これまでの研究で国産材であるダケカンバ(Betula ermanii)が野球バットとして利用できることが分かった。ダケカンババットについて打音に関係するだろうと考えられる繊維傾斜角とバットの振動特性の関係を調べ,タモバットおよびメープルバットと比較した。また,反発性能としてボール・バット反発性能(BBCOR)を測定し,振動特性との関係を調べた。その結果,縦振動の固有振動数は繊維傾斜角と関係し,直交異方性弾性体として導かれた弾性率の換算式とよく適合した。打音は繊維傾斜角と関係し,バットの性能の指標となりうることが確認できた。各種バットに球速120km/hで衝突させたときのBBCORを測定した結果,ダケカンババットは最も優れた反発性能を示した。またBBCORはバットの内部摩擦と負の相関がみられ,衝撃によるエネルギー損失が反発性能と関与する可能性がある。

  • 山口 穂高, 藤巻 吾朗, 仲村 匡司
    2021 年 67 巻 1 号 p. 50-59
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/01/30
    ジャーナル フリー

    木製天板などに用いられる幅はぎ集成材の柄合わせ工程は職人の手作業に頼っており,数値化が求められている。本研究では,柄合わせ後の視覚的な不均一さを塗装前に測定したエレメントの特徴量から説明することを試みた。まず,個々のエレメントに切削,研磨,および塗装を施した際の画像解析を行った結果,塗装後の明暗とコントラストは切削後の値から十分予測できることが明らかとなった。次に,参加者による柄合わせパターンの作成実験を行い,得られた60種類を多重解像度コントラスト解析と主成分分析に供し,さらにクラスター分析によって分類した。その結果,柄合わせにはエレメント間コントラストが最重要であることが示唆され,このエレメント間コントラストは隣接するエレメントの明暗の差によって精度よく説明することが可能であった。したがって,塗装後の幅はぎ集成材の視覚的な不均一さは塗装前のエレメントの明暗から予測できる可能性がある。

  • 金 光范, 翟 睿, 周 晓莹, 朱 春鳳, 王 立軍, 金 贞福, 中川 明子
    2021 年 67 巻 1 号 p. 60-67
    発行日: 2021/01/25
    公開日: 2021/01/30
    ジャーナル フリー

    本研究はNaOH・チオ尿素水溶液を用い,100~140℃でトウモロコシ (Zea mays subsp. mays (L.) Iltis) の茎葉の機械パルプ (RMP) を処理し,処理条件がRMPの酵素糖化性に与える影響を検討した。その結果,NaOH濃度7%,チオ尿素濃度5.8%,処理温度120℃,保温時間60分,パルプ濃度20%の時,酵素糖化性が最も良い結果となった。この条件で,RMP中のエタノール・ベンゼン抽出物,灰分,リグニンおよびホロセルロースの含有量は,それぞれ2.2%, 3.5%, 14.2%および79.2%となった。この処理後に行ったRMPの酵素糖化では,グルコース,キシロースおよびアラビノ―スの合計収量が41.9%となった。対照として行ったチオ尿素を加えないNaOH水溶液処理後のRMPの酵素糖化では合計収量は34.7%であり,チオ尿素を混合することにより,約21%高い収量の中性糖が得られることが明らかとなった。

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