木材学会誌
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難燃処理層のシェル型配置によるカラマツ集成材柱の燃え止まり技術の開発
原田 寿郎安藤 恵介宮林 正幸大内 富夫宮本 圭一上川 大輔服部 順昭
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2008 年 54 巻 3 号 p. 139-146

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抄録
集成材のはりや柱を耐火構造とするためには,荷重を試験体に載荷した耐火加熱試験で,試験体が座屈しないなどの強度性能を示すとともに,材料に着炎した火熱が,加熱終了後に自消することが求められる。本研究では,カラマツ集成材柱をとりあげ,難燃処理木材の層で集成材を燃え止まらせる方法について検討した。集成材内部を燃えしろ部分,燃え止まり部分,建物の構造耐力上主要な部分を想定したコア部分に分け,シェル型に配置した燃え止まり部分に難燃性能を付与して,炭化の進行を止めることとした。薬液の浸透性が極めて困難とされるカラマツ材を用いて部位により薬剤注入量の異なるラミナを作製するため,燃え止まり部分にはCO2 レーザによるインサイジング加工を,コア部分にはシーラーを塗布して難燃薬剤を注入した。難燃薬剤は,カルバミルポリりん酸アンモニウムを主体とする薬剤のような加熱時に発泡する薬剤が有効であった。このようにして作製した集成材で,1時間の耐火加熱試験での燃え止まりを実現した。
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© 2008 一般社団法人 日本木材学会
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