化学工学論文集
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[特集] マイクロ化学工学
マイクロチャンネル分離分級器の性能に対する流路深さの影響
大川原 真一東 良知David STREET小川 浩平
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2004 年 30 巻 2 号 p. 135-141

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抄録
分離分級効果を有する円弧状矩形断面マイクロチャンネル(Ookawara et al., 2003)の流路深さが各効果に与える影響を実験および数値計算により検討した. 作成したマイクロチャンネルの幅は400μmで一定, 深さは250μm, 170μmおよび100μmの3種類である. 平均径が7μm, 10μmおよび20μmの多分散アクリル粒子をそれぞれ0.06wt%で分散させたサスペンションを試験試料として用いた. 7μmの粒子に対しては, どのモデルを用いても高い分級効果を得ることはできなかったが, 深さ100μmの場合のみ高い濃縮効果を得ることができた. これは, 深さ100μmの場合では大きな遠心力が発生するのにもかかわらず, Dean渦の粒子を分散させる効果が弱いためであると思われる. 10μmおよび20μmの粒子に関しては, 深さ170μmの場合の方が深さ250μmの場合より濃縮効果も分級効果も高かった. これは, Dean渦の分散効果がほとんど変わらないのに対して, 深さ170μmの場合ではより高い遠心効果が得られたためと思われる. これらの結果に基づき, 流路の深さを変えることにより遠心効果とDean渦の分散効果のバランスを変え, 最適な分離分級効果を得ることが可能であるいう結論を得た.
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© 2004 公益社団法人 化学工学会
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