化学工学論文集
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編集ノート
移動現象,流体工学
  • 嘉瀨 峻介, 宍戸 昌広, 吉田 篤史
    原稿種別: 報文
    2020 年 46 巻 5 号 p. 135-141
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    主として層流条件下で運用される小規模のフローリアクターに組み込む単純な構造の混合部として,並流二重管型混合部の下流にオリフィスを設置し,その混合特性への影響を検討した.混合部での二液の混合特性を,環状部と内管の流量比が100 : 1, レイノルズ数が4000以下の領域でVillermaux–Dushman反応から求められるSegragation factorにより評価した.検討したパラメータは,オリフィス径,流体の全流量(環状部と内管からの流量の和)である.その結果,内管出口のすぐ下流にオリフィス板を設置するだけで,層流条件下であっても極めて良好な二液混合特性を示すことがわかった.同じ流量条件であれば,オリフィス径は小さいほど混合特性は良好だった.さらに,流量の増大とともに混合特性は向上した.オリフィス板の設置による混合特性改善の理由を探るために,混合特性評価実験と同じ条件で,色素で着色した水を内管から供給し,管内の流動状態を可視化した.その結果,オリフィス通過時の噴流と周囲流体との境界に形成される剪断層からの渦ならびに噴流自体の乱流要素が混合拡散に大きく寄与しているものと考えられた.条件によっては既存のマイクロミキサーに匹敵する混合性能が得られることを明らかにした.

  • 田中 裕幸, 菅澤 昌之, 横田 英明, 酒井 幹夫
    原稿種別: 報文
    2020 年 46 巻 5 号 p. 142-151
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    ビーズミルは媒体粒子に作用する接触力によって,微粒子化を行うシステムである.ナノサイズの粉体では,1次粒子を壊さないように小さなサイズの媒体粒子が用いられる.これまで,ビーズミル内の媒体粒子挙動の評価には,シミュレーションが用いられ,摩擦係数をパラメーターとしたチューニングが行われていた.しかしながら,これらの数値解析では,摩擦係数に付随して媒体粒子の空間配置が異なると,流れ場にも影響する可能性があるため,単に摩擦係数を経験的に決定するだけでは本質的にビーズミルの媒体挙動を模擬したとは言えなかった.本研究では,アニュラ型ビーズミルの数値解析をAdvanced discrete element method-computational fluid dynamicsで行い,実験の媒体粒子の挙動と比較して数値計算により妥当な結果が得られることを示す.本研究では,媒体粒子–壁間の摩擦力に着目して,媒体粒子–壁間の摩擦が媒体粒子の空間配置におよぼす影響および媒体に作用する固体–流体間相互作用力の空間分布に与える影響を評価する.さらに,媒体粒子–壁間の摩擦は,媒体粒子間の接触エネルギーの剪断方向のみならず法線方向成分に影響をおよぼすことを明らかにする.

分離工学
  • 前田 光治, 對馬 一平, 飯村 健次, 新船 幸二, 伊藤 和宏, 山本 拓司, 伊豆川 作
    原稿種別: 報文
    2020 年 46 巻 5 号 p. 152-155
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    原料の混酸(リン酸+酢酸)にシリカゲル吸着剤を加えた吸着実験およびリン酸の回分式吸着晶析実験を試みた.吸着実験では,混酸中の酢酸を選択的にシリカゲルが吸着することにより溶液中に酢酸濃度を効率的に低下できた.吸着晶析実験では,晶析温度とシリカゲル吸着剤の添加率を変化させた実験を行い,リン酸99%以上の結晶粒子群が生成することがわかり,原料に対するシリカゲル吸着剤の添加率が増加すると晶析したリン酸の結晶粒子群の純度も向上した.また,晶析温度を低くするとリン酸の結晶化率は向上するが,結晶粒子群の純度はあまり変化しなかった.シリカゲル吸着剤による吸着晶析では,吸着剤の添加率の増加で懸濁密度が上がり,結晶破壊が起こり,リン酸結晶は針状結晶から板状結晶に変化して粒度が小さくなり,小粒径の結晶粒子群ほど高純度になることが示唆された.

  • 佐藤 森, 河合 秀樹, 平野 博人
    原稿種別: ノート
    2020 年 46 巻 5 号 p. 156-160
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    傾斜沈降板間およびくの字部を有する折れ曲がり構造の傾斜沈降回分容器内の流動挙動を検討した.連続相には40%グリセリン溶液を使用し,沈降物質として400 µmのガラスビーズを使用した.可視化実験では,トレーサー粒子としてポリスチレン粒子を混入し,PIVにより連続相の速度ベクトルを算出した.また,数値解析ではDEM-CFDを用いて流動挙動の検討を行った.可視化実験と数値解析の結果は良好な一致が見られた.さらに,折れ曲がり部では特徴的な流動が見られ,流動開始の初期段階では連続相の流量は上部と下部でほぼ等しいことが判明した.

熱工学
  • 柴田 洋輔, 薗部 智史, 齋内 希幸, 朝熊 裕介, Hyde Anita, Phan Chi
    原稿種別: 報文
    2020 年 46 巻 5 号 p. 161-166
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    マイクロ波が油相を通過し液液界面に吸収するという特徴を利用し,界面活性剤のゆらぎや脱着による表面改質が提案されている.一般に,液液系プロセスにおいて,界面活性剤や油相の種類,水溶液の性質はさまざまであり,マイクロ波による表面改質の最適化のためには,照射方法に関する熱移動の体系化が求められている.そこで,本研究では,親水基の長い界面活性剤が安定して吸着している場合に,マイクロ波多段照射を提案し界面張力を測定した.マイクロ波非熱効果として界面張力の急激な上昇に関する表面改質が,著者らの「界面でのエネルギー集中の指標」である無次元数を用いて議論され,その有効性が示された.最終的に,この無次元数を用いて効果的な多段照射の条件が予想できた.

反応工学
  • 柴﨑 絢祐, 東 大輝, 渡邉 賢, 木下 睦, 平賀 佑也, 宮崎 秀喜
    原稿種別: 報文
    2020 年 46 巻 5 号 p. 167-175
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    本報では,廃リチウムイオン電池(廃LiB)のリサイクルプロセス構築に向け,各種リチウム金属酸化物および実廃棄物に対して0.4–2.0 mol/dm3のクエン酸水溶液を用いて反応温度80–200°C, 反応時間5–60 minで水熱有機酸浸出反応を行った.その結果,Li, Co, Niの浸出率は反応温度および反応時間の増加とともに増加した.またMnの浸出率は110°C, 5 minの温和な条件においても90%以上浸出した.その後浸出率は反応温度の増加にともない減少するとともに白色固体が析出したが,さらに温度を増加させると再び浸出率は増加した.廃LiB材において浸出率の反応温度依存性を検討したところ,Li, Co, Ni, Mnの全正極材料元素が溶出した.さらに廃LiB材の浸出反応に対しては前処理によって正極材料元素の結晶構造が変化し,浸出メカニズムに影響を与えることが示唆された.

  • 清水 忠明, 大戸 崇司, 加藤 平蔵, 李 留云, 八太 昭道, 小島 紀徳
    原稿種別: 報文
    2020 年 46 巻 5 号 p. 176-182
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2020/09/20
    ジャーナル フリー

    ガスがすべて固体層を通過する気固接触を維持しながら,らせん軸周りの回転で粒子を輸送するコイル状らせん構造をもつ装置を提案した.ステンレス製JIS規格20Aサイズの180°ロングエルボを組み合わせ,5旋回コイル状らせんを作製した.コイルをフレキシブルヒーターで加熱して壁面を一定の温度に保ち,コイルを回転させて粒子を輸送した際の粒子の出入口間温度差と粒子の比熱および粒子輸送速度から,伝熱速度を求めた.伝熱係数はらせん回転速度増加とともに増加した.粒子の熱物性値とらせん回転速度から伝熱係数を与える実験式を得た.コールドモデルで観察したコイル内での粒子の動きから,粒子群がある一定時間壁面に接触しては離れることを繰り返すPacket renewal modelを用いて,粒子の熱物性値からコイル内壁面と粒子の間の伝熱係数を予測した.実測伝熱係数はモデル予測値の0.38–0.50倍となった.

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