過去にChemical Engineering Research and Designに提出した論文(Ota et al., 2018)では,超臨界二酸化炭素中における固体溶質の溶解度の理論予測モデルについて報告した.ここで構築した溶解度予測モデルを,今回,大気圧下の有機溶媒中における有機修飾無機ナノ粒子(HNP)の溶解度(分散濃度)の理論予測に応用した.その結果,純溶媒の対臨界値を用いて,デカン酸修飾セリア粒子(C10CeO2)の溶解度を理論計算できるようになったので報告する.
本研究では,防錆皮膜に自己修復機能を付与する材料として応用することを目的とし,硝酸アルミニウムを固定化したポリウレアマイクロカプセルの調製および特性評価を行った.金属の腐食過程では,アノードとカソードが発生し,金属表面においてpHが局所的に変化することが報告されている.そのため,本研究では環境pHの変化にともなう徐放特性の評価を行った.硝酸アルミニウムの理論含有率を検討した結果,理論含有率2.36%とすることで最も高い内包効率が得られることが明らかになった.また,調製したマイクロカプセルでは,環境pHが変化することで硝酸アルミニウムの徐放挙動が異なることも明らかになった.
本研究では,酵素型バイオ電池の酵素固定化電極として,親水性バインダーであるポリビニルアルコール(PVA)を添加した微細多孔質炭素電極を作製し,PVAの添加量が電極構造や性能におよぼす影響を評価した.電極スラリーの粒度分布測定を行った結果,スラリー中のカーボン粒子の分散性を高めるには10 wt%以上のPVAの添加が望まれる.しかしながら,サイクリックボルタンメトリー法により,微細多孔質炭素電極の電解液含浸性および反応特性を解析したところ,PVA添加量の増加とともに電極表面上へのPVAの被覆量が増加し,反応物質の供給が阻害されることが示された.乳酸バイオ電池の酵素固定化電極として用いる場合,PVA添加量が15 wt%のときに最適な電池性能が得られることが明らかになった.
リンは植物の成長に必要不可欠な栄養素であり,日本の農業においてはその全量を輸入に依存しているため,国内でのリン資源の確保が重要な課題となっている.本研究では,下水汚泥灰からリンを効率的に回収するとともに,回収したリンを利用して液体肥料を開発すること,さらに作製した液体肥料を用いて植物への施肥効果を検証することを目的とした.酸溶出法とアルカリ溶出法を組み合わせた二段階溶出法を用いることで,下水汚泥灰から高効率でリンを回収するとともに,重金属の除去も実現できた.また,回収された最終析出物は高純度のヒドロキシアパタイトを主成分としており,肥料成分として利用可能であった.さらに,作製された液体肥料を用いたコマツナの水耕栽培実験において,市販肥料と同等以上の成長促進効果が確認された.本技術は,国内におけるリン資源の持続的利用を促進し,廃棄物処理の問題解決にも貢献できるものであり,さらなる応用が期待される.