産業界では古くからグラスライニング(GL)撹拌槽が使用されてきたが,GL撹拌槽設計の基礎となるGL翼の動力相関式は未だに提案されていない.そこで,本報ではGL翼として3枚後退翼,ツインスター,2ブレンド,さらには新規開発されたMR215G,HS603Gの動力相関を試みた.また,グラスライニング撹拌槽のために開発されたビーバーテールバッフルやデルタバッフルの動力特性も合わせて評価した.3枚後退翼,ツインスター,2ブレンドはプロペラ翼の動力相関式で相関可能だった.また,MR215GとHS603GはそれぞれGD220とパドル翼の式を修正することで相関可能だった.
液化天然ガス(LNG)の極低温熱(−162°C)を利用して大気中のCO2を直接回収する新規なDACシステム(Cryo-DACシステム)の開発を進め,アミン吸収法とクライオ昇華ポンプを組み合わせたCryo-DACシステムの設計・開発指針を得ることを目指している.特に,再生塔から昇華槽へN2等の不相変化ガスが混入する場合,不相変化ガスは昇華槽の下流側に蓄積され,ドライアイスの生成を強く阻害することが指摘されている.このため,不相変化ガスの昇華槽内での分布の変化と,その蓄積によるドライアイス生成速度の低下の様相を解明しておくことが重要である.再生塔,連絡通路および3分割した昇華槽から構成される非定常集中定数数値モデルを開発し,数値解析により,プロセスにおける諸量の時間的変化およびドライアイスの生成特性に与える不相変化ガスの影響について検討した.特に,各種の解析パラメータが,圧力,温度,再生塔でのCO2再生速度,昇華槽でのCO2固化速度の非定常変化,およびドライアイスの生成量や生成効率などに与える影響を解明した.本報では基準とする解析条件におけるプロセスの諸量の時間的変化について示し,昇華槽において3分割された槽間で温度と物質濃度が変化することを解明した.また,ドライアイス層の厚さが時間の平方根にほぼ比例して非定常的に増加し,冷却面への熱伝導と気相バルクへの熱伝達の大きさが変化し,昇華槽全体が非定常状態となることが判明した.
本研究では,土壌洗浄などに用いられている高圧ジェット装置内におけるキャビテーション現象を,実験およびシミュレーションによって確認することを目的とした.透明配管で作製した高圧ジェット装置に4 MPa, 3 L min−1で水を噴射すると,圧力の低下によると考えられる微細気泡の発生が確認された.流動シミュレーションでは,ノズル急縮小部で飽和蒸気圧以下となり,キャビテーション発生を示唆する結果を得た.テレフタル酸水溶液を高圧ジェット装置に噴射したところ,2-ヒドロキシテレフタル酸が生成したため,キャビテーションによるラジカル生成が示唆された.振動加速度センサーを混合管および移送管に設置し,水を噴射したところ,混合管においてのみ1–10 kHz帯の振動と,高い振動加速度(4.81–43.8 m s−2)が検出された.以上より高圧ジェット装置内におけるキャビテーションの発生が考えられた.