化学工学論文集
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低Peclet数における繊維層エアフィルタの捕集効率に及ぼす内部構造の影響
大谷 吉生包 理並木 則和保坂 司江見 準
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1998 年 24 巻 5 号 p. 772-778

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抄録

高性能, すなわち高捕集効率・低圧力損失を実現するため, 繊維層フィルタの繊維は, 微細化の方向へ急速に進んでいる.繊維の微細化は, 最近の超微粒子捕集の重要性とともに, 従来のフィルタ濾過理論では検討されなかった低Peclet数 (Pe) における粒子捕集の問題を引き起こしている.本研究では, モデルフィルタを用いて, 低Peclet数領域で繊維間隔 (充填率), 繊維配向の捕集効率への影響を検討することにより, 低Peclet数での粒子濾過の問題点を明らかにした.その結果, (1) Peが小さくなると濾材表面極近傍の繊維の単一繊維捕集効率ηは内部に比べて大きくなるため, 厳密には対数透過式は成立しない. (2) ηは, Peが小さくなると充填率によって決定される一定値に漸近する.このため, Peが約1以下で粒子を濾過する場合, 同じPeでは充填率の小さな繊維層ほどより高性能な濾材になる. (3) 流速Uの主流に対して繊維が傾斜していても, 傾斜角θがπ/4以上では繊維近傍での流れは繊維の軸に対して直角になる.このため, 傾斜繊維のηは, 代表速度としてU sinθを用いてPeを計算すれば, 流れに直角な繊維の推定式がそのまま適用できる. (4) 傾斜繊維の捕集効率への影響は小さく, 繊維層フィルタの粒子透過率は, 実質上すべての繊維が流れに対して直角として推定できる.

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