結核
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乳幼児結核性髄膜炎の診断における頭部, 胸部画像検査の有用性
近藤 信哉伊藤 真樹
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2003 年 78 巻 2 号 p. 89-93

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抄録

1990年~1999年に発病した結核性髄膜炎乳幼児の現病歴, 検査所見をretrospectiveに検討し, より良い診断法を導くことを試みた。診断基準は発熱, 全身倦怠を有し, 髄液, あるいは胃液から結核菌が検出され, 髄液細胞増多を有し, 抗結核剤治療効果を有したこととした。対象は11例 (男6, 女5) で, 平均月齢は10.7であった。BCGワクチンは3例 (27%) に接種され, 接触歴は7例 (64%) において不明であり, 発症から診断まで平均14.8日を要した。発熱は全員に認められた。髄液では10例 (91%) にリンパ球優位の細胞増多を認め, 結核菌塗抹陽性は3例 (27%), PCR陽性は8例中5例 (63%) であった。10例中6例 (60%) はツベルクリン反応陰性であった。胃液結核菌塗抹陽性は4例 (36%), PCR陽性は8例中5例 (63%) であった。胸部単純X線写真, 造影CT検査において全員が縦隔・肺門リンパ節腫脹を示した。頭部造影CT検査において脳底部髄膜造影効果が全例 (100%), 水頭症が9例 (82%), 脳梗塞が8例 (73%) に認められた。これらの結果はリンパ球優位の細胞増多を伴う髄膜炎乳幼児において, 結核菌検査, ツベルクリン反応, 胸部単純X線写真に加えられた頭部, そして胸部CT検査は結核性髄膜炎の補助診断法として有用であることを示唆する。

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