1978 年 35 巻 12 号 p. 751-758
DSC測定により熱処理された共重合ポリエステルの融点挙動について検討した. テレフタル酸系共重合ポリエステルの融点は, 融点以下の一定の条件下で熱処理をすることにより共重合組成の種類に応じた融点上昇の挙動を示した. その結果熱処理されたポリエステルの融点は, ランダム共重合ポリエステルの融点に関するFloryの式にあてはまらなくなってくることを見いだした. この熱処理による融点上昇挙動と共重合ポリエステルの組成との関係について検討し, (1) 共重合成分が長鎖の酸, 又はグリコールほどその傾向が著しく, 逆にベンゼン環を有するものはそれが小さい. (2) 共重合ポリマーの結晶性の小さいものほどその傾向は大きい. さらにX線回折によりこの融点上昇が結晶の単位構造における面間隔の変化に由来するものではないことを確認した.