溶融ナイロン12フィルム30 msでの短時間接着性について, ナイロン12分子の拡散現象の立場より検討した. ナイロン12の拡散係数
DAは, 自己拡散係数に相当する溶融粘度より算出した拡散係数
DBよりかなり大きく, 見掛けの活性化エネルギー
EDAも
EDBに比べてかなり小さい. その分子量依存性は溶融粘度あるいは
DBが分子量の3.4乗で変化したのと対照的に極めて弱い傾向を示した. これらの挙動より, ナイロン12の短時間接着には分子鎖全体の運動性よりはむしろ, 局所的なセグメント単位の運動, つまりはセグメントの拡散が関与していると考えられる. これは,
DAの挙動と偏光けい光法による溶融ナイロン12の分子運動性の対比からも支持された. 一方, 短時間接着時の接着強さと比較的長い時間 (120s) 接着した時の接着強さを, 接着温度依存性と分子量依存性について比較したところ, 両者の差異はほとんどなく, ナイロン12分子のセグメント拡散の分子機構と対応する挙動を示した.
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