杏林医学会雑誌
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総説
イソフラボンの体内動態研究における新しい展開
イソフラボン抱合代謝物の代謝と排泄
石井 和夫細田 香織古田 隆
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2011 年 42 巻 3 号 p. 97-105

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抄録
 イソフラボンは,ホルモン依存性がんや骨粗鬆症などの予防の観点から注目される。一般にヒト生体内においてイソフラボンの大部分は抱合体として存在するが,体内動態の評価は,抱合体の選択的酵素水解により得られるアグリコンにより為されるため,生体中に存在する活性本体と排泄過程における化学形については不明な点が多い。著者らは,消化管より吸収されたdaidzein(Dein),genistein(Gein)などのイソフラボンとその抱合代謝物を同定し,さらに,これら16種の代謝物の高速液体クロマトグラフ-UV検出器による直接一斉分析法を開発した。本法を,きな粉摂取後のヒトにおけるイソフラボンの代謝,排泄の研究に適用した。その結果Dein-7-glucuronide-4’-sulfate,Gein-7-glucuronide-4’-sulfate,Gein-4’,7-diglucuronideは,イソフラボンの薬理学的性質および薬効を示すためのkey compoundsと考えられ,さらに抱合代謝物の腎排泄過程において脱硫酸抱合もしくは脱グルクロン酸抱合が起こり得ることが判明した。
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