杏林医学会雑誌
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症例報告
  • 大西 杏佳, 森久保 拓, 馬上 知尋, 小松 悠香, 關 里和, 川村 直弘, 須原 夕貴, 加藤 憲一郎, 長濱 清隆, 藤原 正親, ...
    2026 年57 巻1 号 p. 3-11
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    TAFRO症候群は急速に発症・進行する全身性炎症性疾患であるが,早期の診断が難しい一方で,治療が遅れると致命的となりうる。本症例は,60代の男性で,発熱,腹水貯留,血小板減少,多発リンパ節腫脹,進行性の腎障害を呈し,前医でC型肝硬変が原因と考えられ治療が行われたが無効であり当院に転院となった。当院で原因疾患としてTAFRO症候群が鑑別に上がったが,併存する肝硬変のため診断に難渋し,診断的治療として,ステロイドパルス治療を行ったが,血小板低値が改善せず,肺胞出血により死亡した。剖検においてCastleman病様のリンパ節所見,骨髄細網線維化を認め,TAFRO症候群の確定診断に至った。肝硬変とTAFRO症候群の合併はこれまで報告がなく,文献的考察を加え報告する。

  • 深江 桃, 荻原 良太, 藤麻 武志, 三井 達也, 森久保 拓, 三好 潤, 松浦 稔, 久松 理一
    2026 年57 巻1 号 p. 13-19
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    症例は41歳女性。ビーポーレン初回摂取後,発熱・腹痛・下痢で発症し,数時間後に皮膚紅斑と循環不全を呈した。血液検査で炎症反応やプロカルシトニンが高値であり,当初は感染性腸炎が疑われたが,培養検査陰性かつアドレナリン筋注により速やかに症状が軽快した臨床経過とMultiple Allergen Simultaneous Testでスギ(クラス6),ヒノキ(クラス2)を認めたことから,ビーポーレン摂取に関連した食物性アナフィラキシーショックと診断した。
    ビーポーレンは多種の花粉抗原を含む健康機能食品である。花粉症患者では交差抗原性により重篤なアレルギー反応を来し得る。消化器症状で発症する場合には,その他腸炎との鑑別を要するため診断が遅れやすい。花粉症既往やビーポーレン摂取歴があれば早期からアナフィラキシーを想起し,アドレナリン迅速投与と二相性反応を見据えた十分な観察が重要である。

特集「杏林大学医学部付属杉並病院 摂食嚥下外来─多職種による取り組み」
  • 横井 秀格
    2026 年57 巻1 号 p. 21-22
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー
  • 猪股 浩平, 内藤 翔司, 伊豆原 久枝, 横井 秀格
    2026 年57 巻1 号 p. 23-28
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    摂食嚥下障害の原因疾患や病態は多岐にわたり,耳鼻咽喉科以外の内科やリハビリテーション科の医師や言語聴覚士(ST),看護師などの多職種による連携が重要である。当院は2024年4月1日に杏林大学医学部付属杉並病院として開院して以来,摂食嚥下外来の診療体制を強化しており,杉並およびその周辺地域の中核病院として近隣病院やクリニックと役割分担し,病病連携および病診連携をより密にしていく必要があると考えている。本稿では,嚥下内視鏡検査の内容を中心に,当院の多職種摂食嚥下外来における当科での役割や取り組みおよび今後の展望について述べる。

  • 阿部 太郎
    2026 年57 巻1 号 p. 29-32
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    本邦では急速な高齢化の進行に伴い,誤嚥性肺炎は高齢者肺炎の主要な原因としてその重要性を増している。誤嚥性肺炎は再発率が高く,低栄養やADL低下を介して生命予後およびQOLに重大な影響を及ぼす疾患であり,抗菌薬治療のみならず,嚥下機能評価,口腔ケア,栄養管理,リハビリテーションを含む多職種による包括的介入が不可欠である。杏林大学医学部付属杉並病院(以下,当院)では,耳鼻咽喉科,呼吸器内科,言語聴覚士,歯科衛生士,管理栄養士などからなる摂食嚥下チームを編成し,誤嚥性肺炎患者の診療にあたっている。特に呼吸器内科を含めた内科は,肺炎の重症度評価や抗菌薬選択に加え,基礎疾患や併存症,服薬内容を含めた全身管理を担い,嚥下障害に影響を及ぼす薬剤の調整を通じて再発予防に寄与している。今後は,地域医療機関との連携を強化し,急性期治療にとどまらない継続的な誤嚥性肺炎診療体制の構築が求められる。

  • 荻野 浩子, 池田 哲也
    2026 年57 巻1 号 p. 33-35
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    歯科医師不在病院において,看護師や歯科衛生士が主体となる口腔ケア・摂食嚥下管理の実践は,誤嚥性肺炎の予防において重要な役割を果たす。本稿では,杉並院における看護部主導の口腔評価に対する教育的取り組み,摂食嚥下カンファレンスの運営,歯科衛生士の活動を紹介し,課題と今後の活動について述べる。
    看護部主導で2024年度より口腔ケア認定制度を導入し,初級・上級・インストラクター課程を整備した。入院時に看護師によるOHATを用いた口腔アセスメント,EAT-10によるスクリーニングを行うこととした。さらに,誤嚥性肺炎の改善を目的として耳鼻咽喉科医,呼吸器内科医,リハビリテーション室,看護師,歯科衛生士を中心に月1回の摂食嚥下カンファレンスを開催し,入院患者の口腔環境および摂食嚥下機能の評価を積極的に行う取り組みを開始した。
    病棟スタッフの約7割が初級課程を修了し,口腔ケアの標準化が進んだ。EAT-10とOHATを活用したスクリーニングと評価により,嚥下障害や口腔トラブルを早期に発見でき,誤嚥性肺炎予防に寄与していると思われる。また,歯科衛生士は不適合義歯や動揺歯の対応において,患者・家族・地域歯科資源との調整役を担っている。
    歯科医師不在病院においても,看護師教育と歯科衛生士やリハビリテーション関連職種などの多職種によるカンファレンスを組み合わせることで,誤嚥性肺炎の予防と摂食嚥下機能の改善に寄与できると考えられる。さらに近隣の訪問看護ステーションや介護施設,近隣歯科医師会との連携強化,VE依頼件数の増加に向けた取り組み,患者本人の意思と安全性の調和が今後の課題である。

  • 川嶋 美香, 秋山 陽子, 荻島 理恵子, 大槻 直美, 辻川 将弘, 永尾 美紀
    2026 年57 巻1 号 p. 37-40
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    当院では高齢入院患者の増加に伴い,誤嚥性肺炎に起因する在院日数の長期化が課題となっていた。これに対する解決策として,2023年度より摂食嚥下チームを中心に,入院時スクリーニングと多職種による早期介入を柱とした支援体制の構築を進めた。
    嚥下外来では,看護師と言語聴覚士(ST)が協働し,嚥下内視鏡検査(VE)による評価,リハビリテーション,病棟支援,退院支援まで一貫した介入を提供している。STは専門的評価と訓練計画の立案を担い,看護師は日常的な食事介助や口腔ケアを通じて患者の変化を継続的に観察し,その情報を支援内容へ反映させている。
    さらに看護部は,摂食嚥下支援の基盤となる口腔ケア体制を再構築し,口腔ケア認定制度の導入,OHAT に基づく評価手順の標準化,教育・ラウンドの実施を推進した。これにより,経験年数に依存しない口腔ケアの均質化が実現し,支援の質向上につながった。
    また,入院前支援・退院支援部門,地域・在宅支援との連携を強化し,入院前から退院後まで切れ目のない摂食嚥下支援体制を構築した。
    本取り組みは,限られた人的資源の中でも急性期病院で実践しやすい支援モデルであり,誤嚥性肺炎の予防と安全な経口摂取の維持に寄与するものと考えられる。今後は,実践の定着と地域連携パスの整備を進め,さらなる体制強化を目指す。

  • 佐々木 裕子, 宮坂 郁子, 浦 千都夏, 石井 優衣, 大北 萌加, 関 瞳
    2026 年57 巻1 号 p. 41-44
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー

    当院では嚥下評価と栄養管理を多職種で実施しており,管理栄養士は食事摂取状況の観察,嚥下評価に基づく食形態調整,栄養管理を担っている。嚥下評価を行った高齢入院患者では,入院時に低栄養リスクが高かったが,チームの介入によりFOISの改善とエネルギー充足率の向上が認められ,嚥下機能の改善が栄養状態の改善に関与することが示された。
    退院後の地域・在宅における継続的な食支援の重要性が強調され,予防から終末期まで多様な介入目的に応じた支援が必要である。病院と地域をつなぐ情報共有,嚥下調整食の標準化,栄養情報提供書の活用が連携強化の鍵となる。管理栄養士は多職種と協働し,急性期から在宅まで切れ目のない食支援を提供することで,高齢者の健康とQOL向上に寄与している。

  • 秋山 陽子
    2026 年57 巻1 号 p. 45-46
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/03/31
    ジャーナル フリー
市民公開講演会「アイフレイルを予防する」
杏林大学学位論文要旨および審査要旨
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