杏林医学会雑誌
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報告
病棟の移転に伴うmethicillin-resistant Staphylococcus aureusClostridium difficileの検出状況の変化に関する報告
佐野 彰彦中村 貴枝子高橋 陽子種岡 貴子西 圭史荒木 光二河合 伸
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2015 年 46 巻 3 号 p. 213-221

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抄録
 病棟移転前後に伴う新旧病棟の環境,病棟スタッフの手指衛生指数,延べ入院患者数,入院患者検体数,methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA)検出検体材料およびその数,MRSAおよびClostridium difficile (CD)検出指数を分析した。新病棟の1床あたりの占有面積,廊下幅,スタッフステーションの面積は旧病棟のそれに比べ広く設計されていた。病棟移転後の手指衛生指数は,内科系,クリティカル系病棟で減少していた。延べ入院患者数,入院患者検体数およびMRSA検出検体の種類は移転前後で有意な変化はみられなかった。全病棟の移転前におけるMRSA検出数は124件,検出指数は0.74であった。移転後では検出数90件,検出指数は0.54と減少がみられた(p=0.02)。病棟系別の比較では,内科系病棟でMRSA検出指数が移転前で0.73,移転後0.41と有意な減少がみられた(p=0.04)。CDでは,移転前後で有意な減少はみられなかった。 MRSA検出指数減少の原因の一つとして病棟環境改善との関連性が考えられた。
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© 2015 杏林医学会
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