2019 年 50 巻 1 号 p. 15-18
重症下肢虚血(critical limb ischemia; CLI)は下肢の疼痛や潰瘍形成だけではなく,感染の進行による敗血症を併発し致死的となることもあるため適切な治療を要する。
近年糖尿病・慢性維持透析の増加に伴い重症下肢虚血が増加しており,下腿の血行再建術が極めて重要となってきているが,下肢の遠位バイパス手術数は患者数の増加に追いついていないのが現状である。
その要因の一つとしては,日本血管外科学会手術例調査によると遠位バイパス術を実施可能な外科医の不足が指摘されている1)。
当院では診療科間の協力関係を構築し集学的な治療に努めるとともに,適切な治療選択のもとに下肢のバイパス手術を積極的に実施している。
本稿では,我が国で年々増加傾向にある重症下肢虚血の遠位バイパス術について適応と術式について概説する。