杏林医学会雑誌
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特集「末梢動脈疾患(PAD)・肋骨骨髄炎・褥瘡」
重症下肢虚血における再建術,切断術時の麻酔管理
鵜澤 康二渡辺 邦太郎森山 久美
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2019 年 50 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

 閉塞性動脈硬化症,バージャー病,レイノー病をはじめとする重症下肢虚血(critical limb ischemia; CLI)の周術期管理に関し,麻酔科的なアプローチを中心に,下肢末梢動脈疾患(peripheral arterial disease; PAD)に関して解説する。虚血肢に対する治療方法に関して,保存治療可能な病期での救肢を目的とした血管拡張薬や抗血小板薬などの薬物療法,交感神経ブロック,脊髄刺激療法などのインターベンショナル治療,外科的な血行再建術がある。
 麻酔科ペインクリニック的アプローチでは,交感神経節ブロック,脊髄刺激療法について解説を行う。病状の進行,悪化に伴い救肢が困難な場合は下肢切断術が選択される。このような病態の患者は感染により全身状態の悪化や循環器系または呼吸器系に重症な基礎疾患を合併していることが多く,麻酔管理に難渋することが多い。PAD患者の周術期管理に関して,当院の術前周術期センターを紹介し,患者の全身状態を評価方法や適切な麻酔計画を立てることの最重要性について述べ,周術期管理に関する注意点やピットホールを提示し,ハイリスクなPAD患者に対する最新の末梢神経ブロックを用いた術中術後管理について解説する。

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