杏林医学会雑誌
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特集「放射線治療の進歩〜日常臨床から重粒子線治療,免疫療法まで〜」
高精度化する放射線治療
白井 克幸赤羽 佳子川原 正寛高橋 侑大
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2020 年 51 巻 2 号 p. 123-126

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抄録

近年の放射線治療の発展は目覚しく,強度変調放射線治療(IMRT : Intensity Modulated Radiation Therapy)や定位放射線治療といったピンポイントに照射が可能な高精度放射線治療が普及してきている。病変部のみに集中的に照射を行い,周囲の正常臓器を避けて治療が行えるため,有害事象の少ない根治的な治療として,放射線治療の役割はますます大きくなってきている。本稿では高精度放射線治療,特にIMRTの技術を中心に概説する。IMRTは前立腺癌での臨床応用に始まり,頭頸部領域そして,肺癌などの呼吸性移動のある臓器に対してもその有効性が明らかとなってきている。しかし,IMRTの導入・運用にあたってはこれまで以上に精度の高い放射線治療技術が要求され,その治療計画や検証は非常に複雑になってきている。放射線治療医が高精度治療に精通し習熟することはもちろん,医学物理士,診療放射線技師,看護師と連携し,運用や方針について十分に協議することにより,安全で質の高いIMRTを目指す必要がある。

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