杏林医学会雑誌
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特集「放射線治療の進歩〜日常臨床から重粒子線治療,免疫療法まで〜」
高精度放射線治療を支えるQA/QC ~安全性と治療精度の向上へ~
村上 晋也戸成 綾子江原 威
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2020 年 51 巻 2 号 p. 139-149

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抄録

放射線治療は,目的とする腫瘍に対して放射線の線量集中性を高めつつ,周囲正常組織への線量投与を最小限に制限する事により,治療効果を担保し,副作用を減らす事が最大の目的となる。
日本では2000年頃から照射技術として強度変調放射線治療(Intensity Modulated radio therapy : IMRT),2009年頃にはIMRTの技術を更に向上させた回転型強度変調放射線治療(Volumetric Modulated Arc Therapy : VMAT)が臨床導入され,線量集中性と周囲正常組織への線量制限の可能性が広がった。以降,技術の進歩により治療装置,計画装置,関連機器の開発が行われ,照射位置精度を保つ為に様々な画像誘導が取り入れられ,治療直前の腫瘍の位置や,呼吸性移動を確認する事が可能となった。
これら高精度放射線治療を正確かつ安全に実施するためには,品質保証(Quality Assurance : QA),品質管理(Quality Control : QC)は不可欠となる。
当院では2019年に最新の治療装置,計画装置,周辺機器が更新され,新たな治療技術の導入と同時に,医療事故防止の観点からも品質管理の方法を新たに策定し定期的な実施を進めている。
QA/QCの必要性や重要性,当院における実際の状況と取り組みについて概説する。

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