杏林医学会雑誌
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原著
地域在住高齢者の運動の開始・運動習慣維持に関わる要因について 〜ソーシャルサポートに焦点をあてて〜
戸井田 千鶴太田 ひろみ石井 博之楠田 美奈相原 圭太
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2020 年 51 巻 2 号 p. 79-91

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抄録

目的 : 地域在住高齢者のソーシャルサポートと運動の開始・運動習慣維持に関わる要因を明らかにする。
方法 : 東京都A市在住の高齢者(172名)を対象に自記式質問紙調査を実施。運動の実施状況のデータ収集と“運動習慣の有無”を従属変数としたχ2検定およびロジスティック回帰分析にて運動の開始と運動習慣継続の要因探索をおこなった。
結果 : 有効回答数105部(有効回答率61.0%)。運動を始めた動機「友人・知人の勧め」は30.2%,運動の目的「友人づくり」は38.5%であった。また,χ2検定で運動習慣と有意な関連がみられた項目は,「一緒に行う人がいる」(p=0.003),「友人ができた」(p=0.002),インストラクターからの「アドバイス・指導がある」(p=0.030)であった。ロジスティック回帰分析では,「友人と運動を一緒に行う」(OR : 8.66,95%CI : 2.36-31.79,P=0.001)において有意な関連を示した。
結論 : 地域在住高齢者の運動の開始には【友人からの誘い】が,運動習慣の維持には【運動を一緒に行う友人の存在】が要因として重要であることが示唆された。

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