杏林医学会雑誌
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特集『炎症性腸疾患診療の最前線』
COVID-19感染拡大状況における炎症性腸疾患診療
久松 理一
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2021 年 52 巻 4 号 p. 213-217

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抄録

 人類が初めて経験した新型コロナウィルス感染拡大は炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease, IBD)診療においても多くの課題を突きつけた。当初全くエビデンスがない状況であったが,国際的データベースであるSECURE-IBDや厚労省難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班によるJAPAN IBD COVID-19 Taskforceの設立などによる情報取集により,今日一定のコンセンサスを有する治療体系が確立されつつある。いっぽうで新型コロナウィルス感染拡大下での患者行動変容に関する研究結果は,患者や実地医家に対して正確な情報を提供することがいかに重要で,そして難しい課題であるかも明らかにした。ワクチン接種を含めてまだ解決されるべき課題は多いが,新型コロナウィルスでの経験は今後のIBD診療の向上に必ず役立つものである。本稿では新型コロナウィルス感染拡大下におけるIBD診療について解説し,明らかになった今後の課題について考察する。

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