2021 年 52 巻 4 号 p. 221-226
杏林大学医学部付属病院脳卒中センターは多職種が脳卒中専門診療チーム(Stroke Care Team)を形成し,専用病棟で脳卒中急性期からの集中的な治療と早期からのリハビリテーションを計画的かつ組織的に行うことのできる脳卒中ユニット(SU)であり,2006年に開設された。近年大きく変化している脳卒中医療の最先端を踏まえ,常に最適な急性期脳卒中医療を提供している。24時間365日rt-PA静注療法や血栓回収療法などの急性期再灌流療法を提供しながら工夫を重ね,日本脳卒中学会より一次脳卒中センター(PSC)として認証され,更にPSCコア施設を委嘱された。脳卒中センターは脳卒中科医を中心に運用され,救急初療担当者は救急隊からホットラインで連絡を受ける。脳梗塞急性期再灌流療法の適応は灌流CTを活用し脳組織の評価をもとに行い,血栓回収療法には脳卒中科医と脳神経外科医のチームが参加している。毎朝多職種のカンファレンスを行い,さらに外科治療症例の検討や,画像診断の工夫のため別にカンファレンスを行っている。入院後はチームで患者を担当し,リーダーを中心に病態や基礎疾患を総合的に判断しながら診療する。院内発症脳卒中への対応として,特に急性期再灌流療法の適応となる症例を見逃さないことに留意したFAST-DANプロジェクトを立ち上げ,一定の成果が得られた。COVID-19感染蔓延に際しては,医療者と患者を守るための工夫を行いながら,必要な医療を継続して提供した。