杏林医学会雑誌
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特集『脳卒中の最前線』
脳卒中外科の最前線
吉田 裕毅塩川 芳昭
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2021 年 52 巻 4 号 p. 233-238

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抄録

 脳血管障害とは血管病変を原因として起こる脳神経系の異常を総称する言葉であり,脳梗塞,脳出血,くも膜下出血などが含まれる。しばしば脳卒中とほぼ同義語として用いられるが,卒中の「卒」は突然を意味し,「中」は「中風」すなわち半身不随や言語障害などを指すことから,言葉どおり急性期の病態を示すのに対して,脳血管障害は血管病変による慢性期の異常も含まれる。
 脳血管障害を発症して神経学的異常が生じた場合,もとの社会生活に復帰できる患者は限られてくる。その最も大きな理由は中枢神経の再生能力の弱さにある。しかし画像検査の発達によって手術治療が有効であるかを正確に診断できるようになり,また少しずつではあるが手術技術も向上しているため,かつては回復不可能とされていた病態でも外科治療によって良好な転帰が得られる症例も増えてきた。
 脳血管障害と一括りにされてはいるが,上述のそれぞれの疾患は大きく異なる病態であるため,治療の目的も求められる外科処置の内容も変わってくる。本項では脳血管障害の疾患別に脳卒中に対する外科治療の役割について概説する。

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