Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
Print ISSN : 0031-126X
ISSN-L : 0031-126X
原著論文
歪異常と地震発生に関する統計的考察
青木 元古谷 逸夫
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 45 巻 3 号 p. 105-111

詳細
抄録
 歪異常、ここでは、歪ステップの発生が地震発生の前兆的現象になり得るかどうかの検討をベイズの定理に基づいて考察した。データとしては1982年1月から1985年12月までに気象庁体積歪計で記録された振幅が10-8以上の歪ステップとその歪ステップを観測した歪計の近傍に発生した地震である。事前分布を一様分布として、48時間以内の地震の発生確率の事後分布と歪異常発生後48時間以内の地震発生確率の事後分布を比較することにより、歪ステップの発生が地震発生の前兆になりうるかどうかを調べた。絶対値でみると、歪ステップ発生後48時間以内M≥4の地震の平均発生確率は歪ステップを考慮しない場合の平均発生確率の2倍程度になる。また、前者が後者より相対的に大きい確率は8割程度になる。M≥3あるいはM≥2の地震発生と歪ステップの関係は上記のM≥4の場合とは逆になる結果が得られた。地震を数えた領域の大きさや期間の長さには問題が残るが、この結果は歪ステップがM≥4あるいはそれより大きな地震の前兆になり得ることを示す。
著者関連情報
© 1995 気象庁気象研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top