2016 年 24 巻 1 号 p. 35-46
中国は石炭中心のエネルギー構造のため,現在PM2.5や酸性雨などの深刻な環境問題を抱えている.今後の経済発展とともに,エネルギー消費量がさらに増加することが想定される.再生可能エネルギー発電は石炭火力発電と比べて汚染物質やCO2などの排出量が少ないため,今後のエネルギー構造改革の重要手段として注目されている.
本稿はシナリオ産業連関分析を用いて全面的に再生可能エネルギー発電産業の経済効果と環境効果を分析した.従来の産業連関分析と異なり,生産構造は随分と異なる発電部門は同じ生産物「電力」を産出するという電力産業の特性を考慮し,異なった発電部門でどれぐらいの電力を発電するかによって,国内総産出やCO2排出削減効果などを試算した.