日本歯周病学会会誌
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歯周炎罹患歯におけるendotoxinの浸透程度について
小田 茂
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1992 年 34 巻 1 号 p. 46-59

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抄録

歯周炎罹患歯の露出根面のendotoxinの浸透程度を検索した。最初に, 抜去歯を用いて手用スケーラーでスケーリングを行い, 1ストロークで削除される深さを改良マイクロメーターにて測定した。次に, 歯周炎罹患歯で要抜歯と判断された57本の歯を2群 (1群-30本, 2群-27本) に分け, その根面を口腔内露出根面, ポケット内露出根面, 非露出根面に分け, それぞれ表面から2ストローク (1層), 3から5ストローク (2層), 6から9ストローク (3層), 10から13ストローク (4層) までのスケーリングを行い各層の削片歯質を集め, 歯石および各層の削片についてendotoxinの抽出とその定量を行った。その結果, 1) 表面から2ストローク目までが約30μmの深さまで削除され, 3ストローク目以後は1ストローク毎に約20μm削除された。2) 削片1gあたりのendotoxin量は, 歯石では452.9ng (1群), 368.1ng (2群), 口腔内露出根面の最表層では882.2ng (1群), 1185.0 ng (2群), ポケット内露出根面の最表層では625.0ng (1群), 703.0ng (2群) で, 他の層 (平均49.6ng) の約7.4倍から24倍の値を示した。以上の結果より, endotoxinを除去する目的でのスケーリングは, 表層部を確実に2ストローク程度行うことが有効であると考えられた。

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