日本歯周病学会会誌
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最新号
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総説
ミニレビュー
原著
  • 川本 亜紀, 菅野 直之, 吉沼 直人, 佐藤 秀一
    2020 年 62 巻 4 号 p. 200-208
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/25
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    剥離性歯肉炎は歯肉の疼痛を伴う難治性の特殊な歯周病であり,その治療は口腔衛生管理と副腎皮質ホルモン製剤の局所塗布による対症療法である。本症は閉経期前後の女性に多いことから,エストロゲンとの関連が示されている。本研究ではエストロゲンに類似した化学構造を持つエクオールに着目し,エクオール産生能の有無と剥離性歯肉炎との関連およびエクオール摂取による症状の改善効果を検討した。

    剥離性歯肉炎患者女性(剥離群)6名および正常な歯肉を有する女性(正常群)10名を対象とし,尿中エクオール量,歯周組織検査,プラークコントロールレコード,刺激時唾液量の測定および疼痛に関するアンケート調査を行った。剥離群にはエクオールサプリメントを1日10 mg,1ヵ月間摂取してもらい摂取前後で正常群と比較検討した。

    正常群10名中8名の尿中エクオール量が規定値(1 μmol/g cre)より高い値を示したのに対し,剥離群では規定値より高い値を示したのは6名中1名であった。剥離群ではエクオール摂取後にBOPの統計学的に有意な改善が認められた。また6名中4名に歯肉の疼痛の軽減がみられた。以上の結果から,剥離性歯肉炎の症状を有する閉経前後の女性患者に対する新たな検査法と治療法として,エクオール尿中検査とエクオールサプリメント摂取の可能性が示唆された。

  • 室田 和成, 深谷 千絵, 片山 明彦, 庵原 英晃, 森川 暁, 井原 雄一郎, 中山 亮平, 那須 真奈, 飯島 佑斗, 奥原 優美, ...
    2020 年 62 巻 4 号 p. 209-217
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/25
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    歯周病の有病率に関して,産業歯科検診にて全顎6点法検査を用いて横断的に調査した。対象は,某企業の従業員で2017年に歯周病検診を受診した者2,790名で,本研究への協力に同意の得られた者は2,521人(20-69歳)であった。口腔健康行動は自記式質問紙で調べた。検査法の評価のため,4 mm以上の歯周ポケットを有する者の割合,歯肉出血を認めた者の割合に関して,全顎6点法検査とCPIで算出した結果を,χ2検定を用いて比較検討した。また,口腔健康行動と4 mm以上のポケット有無の相関に関してもχ2検定にて評価した。全顎6点法検査を用いた場合,4 mm以上の歯周ポケットを有する者の割合,歯肉出血を認めた者の割合のどちらもCPI方式で算出した結果に対し,4%高い結果となった(p<0.01)。特に,検出率の差は40代と50代において顕著であった(p<0.05)。口腔健康行動と4 mm以上のポケットを有する群との相関はかかりつけ歯科医の有無(p<0.01),メインテナンスの有無(p<0.01),喫煙歴(p<0.01)に認められた。

    以上から,歯周病検診に全顎6点法検査を用いることにより歯周疾患患者の見落としが減少する可能性が示唆された。特に,40代,50代での有用性が年代別での統計解析結果から示された。加えて,かかりつけ歯科医やメインテナンス,禁煙指導に関する歯科保健指導の必要性も示された。

トピック紹介
症例報告
  • 岡部 早苗, 長野 孝俊, 五味 一博
    2020 年 62 巻 4 号 p. 225-233
    発行日: 2020/12/28
    公開日: 2020/12/25
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    歯周病は感染症であると同時に生活習慣病であり,様々な全身疾患と関わりを持つ疾患である。特に糖尿病とは相互に影響を与えるなど密接な関わりがある。本症例は,2型糖尿病を有する広汎型重度慢性歯周炎患者に対し,17年間定期的な管理,良好なコミュニケーションを継続し,安定した状態を維持している一症例を報告する。

    患者は40歳男性で,2001年11月に歯周病治療を希望し当院を紹介され来院した。来院1年半前に2型糖尿病と診断され,糖尿病に伴う右足壊疽を生じ膝下から切断,義足となった。口腔内は全顎にわたり,歯肉腫脹,歯石の沈着が認められ口腔清掃状態は不良であった。全顎的に水平性骨吸収が見られ,一部高度な歯槽骨吸収が認められた。ブラッシング習慣もなかったことから,頻回の口腔衛生指導でセルフケアを確立し,さらに歯周病と糖尿病の関連性を説明したことにより,口腔清掃に対するモチベーション向上に繋がった。スケーリング・ルートプレーニング(SRP)時にはテトラサイクリン系抗菌薬を投与し,歯周ポケット内の細菌叢改善を期待した。感染や創傷治癒不良なども考慮し歯周外科治療は行わず,口腔機能回復治療を行った。歯周組織の改善が見られ,初診から約1年かけSPT(Supportive Periodontal Therapy)に移行した。長期的な管理の中ではHbA1c値が安定しない時期もあったが,患者の状況に合わせ来院間隔や清掃用具を考慮しながら,現在まで17年間喪失歯もなく安定した状態で維持できている。

JSP/JACPポスターセッション抄録集
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