日本歯周病学会会誌
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総説
  • 福田 隆男
    2022 年 64 巻 4 号 p. 109-115
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
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    Periodontitis is one of the most common osteolytic inflammatory diseases in humans. Formation of a periodontal bacteria-associated biofilm is thought to be a trigger for the development of periodontitis, but it is not believed to be sufficient by itself to sustain the disease, as compromise of the host immune response is critical for inflammatory tissue breakdown and disease progression. Macrophages play an important role in the immune response both during the initiation and resolution of the inflammation. Macrophages are broadly classified into two phenotypes, pro-inflammatory M1 and wound-healing M2 cells. Since M2 macrophages contribute to the tissue-remodeling process, effective M2 macrophage induction would provide a favorable environment for resolution of the inflammation and tissue regeneration.

    Mesenchymal stem cell (MSCs) have been applied for the purpose of inducing tissue regeneration and treating autoimmune disorders. Specifically, MSC-derived exosomes have attracted much attention for cell-free MSC therapy, because of their ability to transport vesicular cargo molecules, including growth factors and regulatory miRNAs, which mediate cell-to-cell communication. As compared with other somatic MSCs, gingival tissue-derived MSCs (GMSCs) have the unique capacity for pronounced immunoregulation and secrete large amount of exosomes. Recent studies have indicated that appropriate preconditioning of MSCs with disease-related stimuli can optimize the contents of the exosomes to efficiently support the repair of specific diseases.

    In this review, we report the therapeutic effects of TNF-α-preconditioned-GMSC-derived exosomes on periodontal disease and discuss the underlying molecular mechanisms. Our study revealed that TNF-α-enhanced exosomal CD73 expression leading to anti-inflammatory M2 macrophage polarization and exosomal miR-1260b is an important negative regulator of osteoclastogenesis. Accordingly, our findings may pave the way for the development of a novel therapeutic strategy for patients with periodontitis.

ミニレビュー
原著
  • 島袋 善夫, 竹立 匡秀, 沢田 啓吾, 小清水 まみ, 品田 和子, 浅井 晴美, 溝口 あゆみ, 林 裕子, 塚本 明奈, 宮後 緑, ...
    2022 年 64 巻 4 号 p. 142-157
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
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    歯周病は,成人が歯を喪失する一番の原因であるが,歯周炎患者は歯周病以外の理由によっても歯を失う。本研究では,メインテナンス期間中の歯周炎に起因する歯の喪失(以下TLPD)とそれ以外の要因による歯の喪失(TLOR)に関して,歯周炎新分類とそれぞれの発生率との関連性を縦断的に検討することを目的とした。60~143ヶ月(中央値97ヶ月)のメインテナンス治療を受けている被験者(328人)にretrospectiveに歯周炎新分類を適応し,1-KM法あるいはGray法により累積発生曲線を作成した。Cox比例ハザード回帰分析により多変量解析を行った。

    ステージIとグレードA被験者ではTLPDおよびTLORは見られなかった。ステージIV被験者,グレードC被験者および広汎型被験者の97ヶ月TLPD累積発生率はそれぞれ6.6%,3.4%および2.8%であり,それぞれの分類群間で有意差を認めた。Cox比例ハザード解析から,歯周炎新分類は性別,年齢やメインテナンス開始時の現在歯数とは独立して全喪失歯(TLOA)発生率およびTLPD発生率と有意な関連があった。一方,TLORに対しては,歯周炎新分類との関連はなく,メインテナンス開始時の現在歯数とのみ有意な関連であった。歯周炎新分類はメインテナンス期間中におけるTLOAおよびTLPDと強い関連性があり,TLORとは有意な関連がないことが示された。

  • 杉 典子, 畑中 加珠, 吉田 綾香, 高柴 正悟
    2022 年 64 巻 4 号 p. 158-166
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
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    近年,医科歯科連携を推進する上で,歯周炎症表面積(PISA)が歯周病評価指標として着目されている。PISAは,歯周組織の炎症部面積を定量的に評価でき,歯周病を一臓器の慢性炎症巣として客観的に捉えることができる新たな評価指標である。これまでに,このPISAによる評価指標を用いて動脈硬化などの糖尿病合併症との関連について検討した報告はなく,本研究にて検討することを目的とした。2010年4月から2017年3月に,洛和会音羽病院に糖尿病教育入院した患者447名のうち,歯科受診を拒否した患者30名,X線撮影および歯周ポケット測定を行っていない患者30名,1型糖尿病患者41名および無歯顎患者34名を除外した2型糖尿病患者312名を対象とした。その結果,PISAによる歯周病重症度と各糖尿病合併症の間に有意な関連は認められなかったが,頚動脈肥厚との間に有意な傾向があった。

    糖尿病重症度にて層別化したところ,HbA1cが10%未満群では,PISAによる歯周病重症度軽度群に比べて重度群では有意に頚動脈肥厚(IMT ≥ 1.1)のオッズ比が高く,年齢,性別,BMI,喫煙習慣,飲酒習慣で調整した頚動脈肥厚のオッズ比(95%信頼区間)は,2.74(1.02-7.40)であった(P<0.05)。一方,10%以上群では,有意な差はなかった。

    PISAによる歯周病の重症度評価を用いると,HbA1cが10%未満の者は,歯周病と動脈硬化との関連を認めた。

症例報告
  • 小出 容子, 鈴木 基之, 宮下 元, 山本 松男
    2022 年 64 巻 4 号 p. 167-181
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
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    重度の垂直性骨吸収に対する治療法として,近年開発されたFGF-2製剤(リグロス)をはじめ,これまでに骨移植術,GTR法やエナメルマトリックスタンパク(エムドゲインゲル)を用いた歯周組織再生療法が行われている。今回,2次性咬合性外傷を伴う重度慢性歯周炎(ステージIV,グレードB)患者にコラーゲン使用人工異種骨(ウシハイドロキシアパタイト:HA)移植による歯周組織再生療法とヘミセクションを行い良好な長期経過を得ているので報告する。歯列不正はあるがプラークコントロールは良好で,SPT開始7年後に癌のため長期間化学療法を受け,副作用で味覚障害を一時的に生じたが口内炎の発症はない。移植から18年経過したHAは,エックス線的に置換・吸収されず残存するが感染源とならずに歯周炎の急性発作や歯周ポケットの進行もなく機能している。歯周外科後の歯周組織および化学療法中の口腔環境の維持に,徹底したプラークコントロールは有効であると考える。

  • 山内 伸浩, 皆川 咲佳, 田口 洋一郎, 梅田 誠
    2022 年 64 巻 4 号 p. 182-191
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
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    歯肉退縮に対する根面被覆術には様々な方法があり,現在ゴールドスタンダードである結合組織移植術(connective tissue graft:CTG)にも様々な受容床形成法が存在する。そして歯肉退縮の分類にどの術式を選択し良好な予後を収めるかは術前の診断が重要になってくる。本症例報告患者は24歳女性で,下顎中切歯2歯の歯肉退縮に続く歯の喪失について不安になり来院した。31,41部ともMaynardの分類Type4であり,歯肉退縮はMillerの歯肉退縮の分類ClassIIIおよびCairoの分類Recession Type(RT)2であった。術前コーンビームCT(CBCT)にて31,41間唇側に軽度の骨吸収がみられたが,舌側には骨吸収は認められなかった。また41根が遠心に傾いていたため,歯槽骨頂付近の歯根間距離が41,42間は狭く,31,41間は広かった。CTGを行う際,露出根面上には血液供給がなく,周囲組織の血液供給を確保できるかが重要になってくる。その血液供給には歯間乳頭が重要な役割を果たす。今回Millerの分類ClassIIIおよびCairoの分類RT2の下顎中切歯2歯に及ぶ歯肉退縮に対し,CBCTにより歯槽骨状態の把握および歯根間距離の計測を行うことで歯間乳頭の大きさを考慮し,CTGの術式として歯間乳頭への切開を行わないトンネル形成術を選択し良好な結果を得られたので報告する。

教育賞
  • 大澤 銀子, 加藤 智崇, 仲谷 寛
    2022 年 64 巻 4 号 p. 192-198
    発行日: 2022/12/28
    公開日: 2022/12/28
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    目的:令和2年度の日本歯科大学生命歯学部の臨床実習はCOVID-19の影響により一部がオンライン講義となった。そこで,臨床実習の代替となるような能動学習の効果を期待して,臨床実地問題作成を課題としたオンライン講義を行った。課題実施後に本取り組みにたいするアンケート調査を行い,学生にどのような学びがもたらされたかについて検討した。

    方法:本学第5学年の学生124名を7~8名のグループに割り当て,症例を基に臨床実地問題を作成する課題を実施した。課題作成にあたってはグループ討議やピア・ラーニングを通して能動的に学習するような仕掛けを組み込んだ。講義終了後にアンケート調査を行い量的および質的に分析した。

    結果および結論:本取り組みの結果,80%の学生は自身の学びになったと考え,自習時間が増えた学生は約60%であった。また,約84%の学生は学生同士の話し合いは,学ぶ上で役立ったと回答した。自由記述による抽出語計量テキスト分析から本取り組みは,「知識の定着」,「知識の補完」,「理解の深まり」,「自ら考える力」を促進する結果となった。また,「他者の意見」を聞くことにより学生は不足していた知識を共有し,学びを深めることができたと考える。

    しかしながら,一部の学生は学習に取り組む姿勢が消極的であり,今後,さらに能動学習を促し,学習成果につながるような学習方略を検討する必要があろう。

歯科衛生士コーナー
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