ジニトロトルエン類の代謝と毒性に関する研究

―ラットにおける³H標識2, 4-ジニトロトルエン (³H-2, 4-DNT) の吸収および排泄について―

抄録

ラットにおける2, 4-ジニトロトルエンの詳細な吸収および排泄について研究するために, ³H-標識2, 4-ジニトロトルエン1回経口投与後の血中, 肝中および消化管内容物中の放射能の経時変化ならびに胆汁, 糞および尿中排泄放射能の経時変化について観察した。
血中放射能は投与後6時間で最大となりその半減期は約22時間であった。肝中の放射能も血中の場合と同様に投与後6時間で最大になった。これらの結果とは対照的に小腸内容物中の放射能は投与後6時間で著しく減少していた。一方, 胆汁中には投与後24時間以内に約10%の放射能が排泄されたが排泄速度は投与後6時間目から上昇し9～10時間目で最大になった。この胆汁排泄様式を反映して糞中排泄放射能の大半は6～9時間目に集中していた。尿中放射能の大半は糞中排泄の場合とは逆に, 投与後6時間以内に集中していた。