RADIOISOTOPES
Online ISSN : 1884-4111
Print ISSN : 0033-8303
ISSN-L : 0033-8303
最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • Nattawipa Suwannasaeng, 柿崎 竹彦, 和田 成一, 夏堀 雅宏
    2021 年 70 巻 4 号 p. 209-217
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル オープンアクセス

    99mTc-mercaptoacetyl triglycine(MAG3,投与量93–141 MBq/頭)による腎シンチグラフィでの猫(腎疾患20例および正常例8例)の表面線量率(SDR)と空間線量率(ADR)のモニタリングから,核医学検査時の獣医スタッフと飼い主に対する外部被ばく線量を推定した。最も高いSDRは腹部腹側表面であり,そのSDR時間経過は,物理的半減期(6.01 h)の減衰曲線未満であった。ADRは,患者からの平均距離を100 cmに保つことにより,SDRに対し1/100の有意な減少を示した。猫は投与後24時間で115 μSv/h未満(物理学的半減期に基づく無限大時間までの累積SDRは1 mSvつまり公衆への線量限度)未満となる管理区域外への退出許容可能なSDRを示した。MAG3投与後の排尿は24時間以内のSDR(0.38–9.6 µSv/h)に顕著な影響を及ぼし,排尿したすべての猫は投与後24時間以内に年間の公衆に対する線量限度の1/10未満を示した。これらの結果は日本の現在の法令基準を十分に満たしていたが,最大SDRが十分に低い場合では,投与後24時間の管理区域内での保管という規制が過剰であると見なされた。動物,その飼い主,および動物病院の負担軽減の観点から,各患者の最大SDRに基づいて管理区域外への退出基準を決定することが望ましいと考えられた。

  • 史 豊銓, 谷口 良一, 小嶋 崇夫
    2021 年 70 巻 4 号 p. 219-225
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル オープンアクセス

    大線量放射線をモニターする放射線検出器の半導体プリアンプを開発している。半導体素子の大半は放射線に弱く,特に集積回路化された素子は100 Gy程度の照射しか堪えられないとされてきた。本研究では,放射線に強い接合型電界効果トランジスタ(J-FET)を用い,さらに放射線照射の影響を軽減するために回路的な工夫を加えた。この結果,100 kGy以上のγ線照射でも使用可能な半導体プリアンプとなった。

  • 萩原 健太, 越智 康太郎, 小池 裕也
    2021 年 70 巻 4 号 p. 227-237
    発行日: 2021/05/15
    公開日: 2021/05/15
    ジャーナル オープンアクセス

    多摩川中流域で定点観測を実施し、河川水及び底質中の放射性セシウムの挙動を2012年から2016年にかけて調査した。河川水及び底質中の放射性セシウム濃度は、時間とともに減少した。これらの放射性セシウムの滞留半減期は 134Cs で 0.778–1.50 年、137Cs で 1.22–2.17 年であり、放射性セシウムの風化現象が確認された。雨により水中が懸濁すると、懸濁態放射性セシウム濃度が一時的に増加した。一方、溶存態放射性セシウムはこの影響を受けなかった。放射性セシウム濃度は河川水よりも底質の方がかなり高く、多摩川の放射性セシウムの多くが底質に存在していた。底質に関して逐次抽出、元素および結晶相分析を行い、放射性セシウムの化学状態と底質への吸着メカニズムを調査した。底質中の放射性セシウムは安定した化学形態で存在しており、バイオタイトが放射性セシウムを取り込んでいる可能性があった。

総説
資料
原著
  • 島岡 千晶, 柿崎 竹彦, 和田 成一, 田中 良典, 阿部 剛, 夏堀 雅宏
    2021 年 70 巻 4 号 p. 261-270
    発行日: 2021/07/15
    公開日: 2021/05/28
    ジャーナル オープンアクセス

    黒毛和種(n=20)に塩化セシウム(133CsCl: 20 mg/kg)水溶液を静脈内投与群および経口投与群にそれぞれ投与し安定セシウム(SCs)の薬物動態学的(PK)パラメータを明らかにした。投与前から投与後最長182日までの生体試料中SCsはICP-MSで測定した。各群より得られたPKパラメータ(mean±sd)は以下の通り。濃度-時間曲線下面積(AUC; μg/ L·h):0.54±0.06(IVp),0.42±0.05(POp),0.87±0.11(IVb),および0.71±0.33(POb),平均滞留時間(MRT; 日);20.9±3.2(IVp),19.3(POp) ±2.9,24.7±3.6(IVb),および23.6±5.2(POb),生体内利用率(F%);82±29および83±38,クリアランス(CL; mL/min/kg):0.46±0.05(IVp),0.49±0.06(POp),0.29±0.04(IVb),および0.31±0.08(POb),分布容積(Vd; L/kg):3.3(Vdp)および4.4(Vdb)。終末相の生物学的半減期(T1/2)約30日と推定された。投与量に対する回収率(%)は尿で28±6(IV)および28±8(PO),糞便で85±21(IV)および122±42%(PO)であった。いずれの投与経路でも生体試料中SCs濃度は同様な二相性の分布および消失プロファイルを示し,これらはバックグラウンドレベルを考慮したコンパートメントモデルにより説明された。今回求められた動態パラメータより,長期間放射性セシウムに暴露された環境からの黒毛和種の体内動態を推定することが可能となる。

feedback
Top