抄録
黒胡椒粒を1cm厚に充填した容器を六つ積み重ねた多層試料を作成し, 上方向から5MeV電子線を表面線量15kGyに照射した。黒胡椒の多層試料に対する電子線の吸収線量は, 充填量0.9g/cm2で表面線量の約1.2倍の最大値を示し, これより下方の層になるほど急激に減少した。黒胡椒の付着細菌数は2.1×107/gであった。照射後, 充填量1.5g/cm2内で1.0×103/g以下に適応した。
照射した黒胡椒中にはサテライトの付随したg=2.004のESRシグナルとセルロースラジカル由来と思われる微少シグナルが発生した。電子線照射により増加した黒胡椒中のラジカル濃度は吸収線量に依存していた。殺菌レベルに照射された黒胡椒では, サテライトや微少シグナルが照射9か月以後も検出できた。