日本臨床外科学会雑誌
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胃十二指腸と横行結腸が嵌入した食道裂孔ヘルニアの1例
江田 泉末光 浩也矢野 匡亮須藤 一郎大塚 昭雄
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2000 年 61 巻 10 号 p. 2631-2635

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抄録

胃前庭部から十二指腸球部と横行結腸が嵌入した食道裂孔ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は79歳,女性で,嘔吐を主訴として来院した.胸部単純X線写真にて両側肺野から心陰影に重なるように,消化管ガス像を認めた.上部消化管造影では混合型食道裂孔ヘルニアを認め,また,胃前庭部はヘルニア門の部位にてほぼ閉塞していた.注腸造影では横行結腸が縦隔内に脱出していた.以上より胃前庭部と横行結腸の嵌入を合併した混合型食道裂孔ヘルニアと診断し,手術を施行した.横行結腸,胃前庭部から十二指腸球部および胃底部が開大した食道裂孔に嵌入していた.嵌入臓器を腹腔内へ還納した後,食道裂孔を縫縮した.術後1年を経過した現在,特に症状を認めず,良好に経過している.食道裂孔ヘルニアでは腹腔内臓器の嵌頓を起こすことがあり,注意を要すると思われた.

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