日本臨床外科学会雑誌
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反回神経に浸潤した甲状腺乳頭癌の手術治療の検討
山崎 眞一露口 勝
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2002 年 63 巻 8 号 p. 1857-1861

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抄録

反回神経に浸潤した甲状腺乳頭癌の手術成績を検討し,反回神経への対応について考察した.対象は当科で初回治療した甲状腺乳頭癌538例中,術中所見で反回神経浸潤(EX2)を認めた27例.年齢は7歳から83歳(平均60.4歳),男性8例,女性19例.反回神経への対応は,反回神経切除・再建9例(迷走神経と吻合,端々吻合,頸神経ワナと吻合,各3例),切除・非再建13例,剥離・温存5例.再建9例中7例で音声機能の回復が認められた.気管支鏡所見は再建側声帯の可動性はないが,萎縮なく緊張良好であった.術後平均72カ月の観察期間で,局所再発は未分化転化・癌死した非再建例の1例のみ.再建例,温存例に局所再発・遠隔転移は認めず,温存例に術後反回神経麻痺は認めなかった.
反回神経浸潤症例では,可能な限り剥離・温存を試みるべきであるが,切除が免れない症例では音声機能の回復を考慮し,再建術を施行すべきであると考えられた.

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